「松本先生を信じて」 竹口 笑香 1歳 生後2週間程から、顔や頭にプツプツの湿疹が出来始めました。(このようにアトピーの出始めは軽症であるのがほとんどです。)産婦人科の先生に相談したところ、「"乳児湿疹"(乳児湿疹は100%乳児アトピー性皮膚炎と考えて良いでしょう。)だから清潔にしていればそのうちによくなるでしょう。」とのことで、様子を見ていましたが一向に良くなりませんでした。 4ヶ月になったある日の朝、急に症状が悪化し、耳のあたりがジュクジュクになり、体液で布団が汚れていました。(アトピー性皮膚炎が悪化する一番大きな原因は傷口にブドウ球菌が繁殖し、おびただしいα毒素を産生して皮膚をつぶしていこうとするときです。)慌てて近くの皮膚科に連れていきました。処方された薬は特に説明もなく、湿疹はすぐに嘘のように治ってしまいました。(初めてステロイドを使ったときのステロイドの効き目というのはまさに魔法の薬であります。従って症状がすぐ良くなる薬は医者がステロイドでないと言い張っても必ずステロイドが入っていると考えて良いでしょう。)1週間ほど続けて塗った後塗るのを止めてしまうと、またその後ひどい症状になるのです。(後で分かったのですが、その塗り薬にはステロイド剤が含まれていました。)その上、顔と頭だけだった湿疹が背中やお腹にまで広がり、痒みによる夜泣きもひどくなってきました。どうしようかと悩んでいたところ、ご近所の方に松本先生をご紹介いただきました。(もちろん紹介してもらった人も私の患者さんで、アトピーを治してあげた人です。) 初めに、松本先生の漢方で完治した方のスライドを見せていただき希望が湧いてきました。しかし、漢方薬の煎じ薬は大人の私達でも飲みづらいものです。5ヶ月の友哉は哺乳瓶・その他いろいろな容器に入れてみても、砂糖等を加えてみても一行に飲んでくれません。かわいそうだと思いましたが、薬を強めの火で少なめに煎じて、スプーンで半ば強引に(押さえつけながら)飲ませることにしました。1日3回絶叫です。私にとって何よりも辛い時間でした。(乳飲み子に漢方を飲ませることは最近する必要はないと考えています。それは漢方の一番大きな効用は新陳代謝を良くし、傷ついた皮膚を早く癒すという点であります。しかしながら、赤ちゃんの新陳代謝は大人の何倍もあるわけですから無理に苦い薬を飲まさなくても良いと考えるようになりました。そのかわりに、漢方浴剤を用いるようになりました。) 飲み始めて2週間もすると、症状はどんどんひどくなり、体全体に広がりました。顔は火傷したように真っ赤になり、背中などはザラザラで色が黒ずんできました。初めにリバウンド事は説明されていましたが、やはり心配で、雨の中先生にご相談に行ったりもしました。先生の「大丈夫!これでいいんです!」の言葉を信じて、とにかく最低1年間は続けようと決心しました。 7ヶ月にはいると、やっと友哉はストローでお茶代わりに薬を飲んでくれるようになりました。湿疹の症状は、飲み始めて2ヶ月間程はずっとひどい症状でした。夜中に痒みが出て何度も泣き、私も睡眠不足でフラフラでした。その後、飲み続けて半年も過ぎた頃、良い日と悪い日が半々くらいになってきました。(この頃は漢方浴剤を用いていなかったので、傷の治りが悪かったようです。) 1年を過ぎた頃から、1ヶ月の内肌の調子が悪い日が10日程になり、1年半を過ぎた今は、夜泣きもなくなり全身ツルツルで「ひどいアトピーだった。」と言っても誰にも信じてもらえません。 漢方薬の方は、ジュースの味を覚えた今でも、何とか嫌がらず飲んでくれています。完全に体質が変わるまで続けて飲ませていこうと思っています。辛いときもありましたが、先生の言葉を信じて、続けて良かったと思っております。本当にありがとうございました。(この患者さんも完治されて来院されていません。)
<上の表の説明> IgE抗体のピーク値は必ずしもリバウンドに際して、患者さんの作った最高の値とは限りません。毎日IgE抗体を計れば、本当の値の見つけることが可能ですが、実際は出来ません。IgE抗体が上昇するのは、連続的に過去の抑制が解除されて、作る方が使うよりも多いからであります。この時は作ったIgE抗体が、即座に連続的にアレルゲンと結び付き、炎症が次々と生じ、その結果症状が悪化するわけです。この時を私はリバウンド期と呼んでいます。 |