「無責任なアトピー医療」 平井 準一 22歳 この情報化社会において、私たちの周りには数知れない情報が氾濫している。私達はそれらの情報をただ享受し続けることを避けねばならない。なぜなら、それらの情報の中には正しい情報と共に誤った情報も含まれているからである。(間違った情報を流した発信者は責任を取るべく罰せられる法律を作るべきです。)もしかしたら誤った情報の方が遙かに多いかもしれない。しかし、私達はそれらの情報から選択をしなければならない。これは口で言うほど簡単なことではないが、この社会で生きていくためには仕方ないことである。僕はこの病気を患って痛いほど思い知らされた。(間違った情報を流せばその責任を取らなければならない社会制度に変えなければならない。正しい情報の中から選択することができるようにすべきです。) アトピー性皮膚炎に関する情報はTV・ラジオ・新聞などのメディア、又は病院などで得ることができるが、それらは千差万別でまさにどの治療法を選択していいのか悩まされること必至である。もし悩むことを放棄すれば、机上の空論を振りかざす権力主義者の似非医師や金儲け主義のインチキ業者達の手によって我々患者はいいように弄ばれ、最後には取り返しのつかない状況にまで追い込まれてしまう。(例えば治らないのに治るといってみたり、副作用があるのに副作用が無いと言う医者は、罰せられるとか医師免許が剥奪されるとかの法律を作るべきです。)ここで一番大切なことは、患者自身が無知ではいけないということである。(間違ったことを知っていても意味が無い。無知なほうがましである。従って情報の出し手である専門家が間違ったことを言えば罰せられるべきです。)できれば患者を取り巻く人にも理解が得られれば良いのだが、それは現時点では様々な事情が絡んでくるので大変難しい。 初めに松本医院を訪れたとき、まだ僕は半信半疑だった。ここへ行き着くまでにあまりにも多くの情報に踊らされていたので疑心暗鬼に陥っていたからである。病院の待合室で自分の順番を待っている間、壁の張り紙にステロイド剤は一切使わず治療すると書かれていたので少し安心し(ステロイドによる治療では治らないということは自分の経験と入ってくる情報によって分かっていた。)、心の中では、治らないまでもステロイドを使わないならば今よりは悪化しないであろうと考えていた。松本先生の診察を受けて今までの医師と違ったことは、患者である僕の話を聞いてくれてそこから出てくる疑問点に逐一答えてもらえた事だ。アトピーに関しては今まで僕が説明を受けてきた医師達はあやふやでとらえどころのない説明に終始し、僕が満足を得られるような答えをした人は誰一人いなかった。(このような診察が許されているところに問題点があるわけです。)僕自身の素人の考え方がおかしいのだろうかと自問自答したこともあったが、松本先生の説明は机上の論ではなく、自分の足と目と耳でかせいだ論理で疑問に満ちた僕の頭をとぎほぐしてくれ、精神面においても大変大きな助けとなった。もちろん、アトピーの治療というよりもステロイド被害の治療の方はすこぶる順調で、通院して1年程で昼間に外へも全くとまでは行かないが、それ程劣等感を感じることなく出歩けるようになっていた。僕はもしここへ行き着くことができていなければ、ステロイドによる「毒で毒を制す。」というやり方で、その効力におびえながらもステロイドを手放せず、ステロイドジャンキーのまま生きていかなければならなかったのではないかと想像すると、今でも強い恐怖感にさいなまれる。松本医院での治療によって、僕は人間として生きていくことを許されましたが、だからといって頭の中を空っぽにし何も考えず、全てを松本医院での治療に任せきるということはとてもいけないことであるとも思った。誤解されては困るが、僕は松本先生を完全に信頼している。矛盾していると思われるかもしれないが、つまり僕が言いたいことは、どんなに正しいと思うことでもその信奉に凝り固まらず、疑ってみることも大切だということである。(現代の日本の教育で最も欠けているのは何故かという疑問です。あらゆる事柄について疑問を感じるのが教育の原点です。しかし日本人は地位のある人や専門家といわれる人が言うことを鵜呑みにしてしまう権威主義に堕落してしまっています。勿論、専門家としては鵜呑みにしてもらったほうがどんなことも無知な大衆を思うままに支配しやすく、気楽なものでしょう。しかしその言葉の裏には責任が伴わねばなりません。)これは実は松本先生から教わったことなのだが、こうすることによってより自由なものの見方ができるのだと言いたかったのだと思う。僕はこのことを聞き、本当の意味で信頼して良いのだと思った。先生の話によると、アトピーなどのアレルギーによる病は先進国特有のものだということである。つまり、日本で生きていく上での背負い込むしかない負の遺産である。我々患者はつけを支払わされているだけなのである。 今の医療体制ではこのつけは我々以降の代にまで及んでしまう。こんな最悪の事態にならないように願うことしか今の自分にはできない。自分が言えることは、「患者は無知ではいけない。無知は罪である。そして、患者の無知を責める前に裁かなければならないのは、患者の信頼を裏切り続ける日本の医療における無知の方である。」ということだと思う。(アトピーとは「奇妙な」といった意味のようだが、松本医院ではそんな奇妙なものではない。)(現在ではほとんど完治されましたが、その後アトピーのひどい父親が来院されました。実は父親も一番最初この患者さんと一緒に来院されたのですが、私のことを信頼できずに某大病院の治療を継続され、どうにもならなくて1年後に再び来院されお父さんもほとんど完治されております。皮肉なのは大病院で病気を作られて、その後始末を一開業医がやらざるを得ないということであり、現在の医療の大きな矛盾であります。)
<左の表の説明> 某大病院で長期に渡ってステロイドを使ってきたために、初診時のIgE抗体は極めて高かったのですが、リバウンド期を乗り越えてしまうと若いせいかIgE抗体の落ち方も急激でした。 |