革命的アトピー(アレルギー)の根本治療法 (免疫反応を抑制せずに症状の引っ掻き傷の後始末だけをすれば完治する。痒みは好きなだけ掻けばよいのです。) 漢方でアトピー(アレルギー)は必ず治してあげます。 「漢方を用いたアトピー(アレルギー)完治の自然後天的免疫寛容の理論と証拠」 ‐ 2007年にサプレッサーT細胞が発見されたので私の理論は完璧なものとなりました ‐ 松本医院 院長 医学博士 松本仁幸 (京都大学卒業、大阪外国語大学中退、京都府立医科大学卒業) アレルギーとは環境の汚染異物を体内から排除しようとする高貴な戦いであり、症状が出るということは免疫の働きが勝っていることを意味します。アレルギーが治るということは、強大な汚染環境との戦いに負ける、つまり人体の武器であるIgE抗体が自然に作れなくなることであります。これを私は自然後天的免疫寛容と呼んでいます。この免疫の働きはサプレッサーT細胞によってもたらされます。これは世界で初めて私が臨床で見つけたのですが、2007年に京大の坂口志文先生がサプレッサーT細胞そのものを発見されました。これで私の理論は完璧になりました。ところが現代医療のアトピーやアレルギ−の全ての治療はステロイドや抗アレルギ−剤や抗ヒスタミン剤を用いてIgE抗体の産生と使用を一時的に抑え、つまり一時休戦するだけですからIgE抗体の産生能力が保持され続け、薬が切れると再び作られ、使用され、戦いが再開されるいたちごっこになり永遠に根治出来ない医者の作った病気になります。しかも臨床的には私が見つけたサプレッサーT細胞をも抑制してしまうので、永遠にサプレッサーT細胞が発動されずに、治らない病気となるのです。サプレッサーT細胞が見つけ出された今となっては、私の治療法は革命的どころか当たり前の治療に過ぎないのです。それでも私の治療法が革命的であるのは、他の全ての医学者や医者が今でも免疫を抑え続けている現状では一切免疫を抑制しない私の方法は今でもやはり革命的といえるでしょう。漢方や他の中国医学の手法は免疫の抑制をせずに痒みを抑えずに掻き続ければ、最後に戦いは終わりアレルギーも完治します。 なぜ一介の開業医が、絶対に治るアレルギーの治療法を発見できたのでしょうか。それは医者は病気は薬で治すものだと洗脳されているからです。ところが現代医学の薬は免疫を抑える薬しか作れないからです。この事実を私以外の全ての医者が気がついていないのです。気がついていないのは漢方を知らない医者だけではありません。日本には誇らしげに漢方を標榜している漢方医が五万といます。しかしながら私のように西洋医学の免疫学を完全に習得し、免疫学の理論を駆使して漢方を使いこなしている漢方医は皆無であるのです。漢方は単に経験医学に過ぎなく、正しい免疫の理論は全くありません。しかしながら漢方は経験的に免疫を上げてきたからこそ価値を持ち続けてきたのです。にもかかわらず、漢方医と言われる人はこのような免疫を上げる漢方を用いながら、他方では免疫を抑えることしかできない西洋薬とを同時に用いてほくそ笑んでいるだけです。漢方を用いる限り製薬メーカーの作った薬は絶対に使ってはならないのです。使ってよい薬は免疫をヘルプする抗生物質を抗ウイルス剤と、あえて言えば、降圧剤と胃薬だけであるのです。 アトピー性皮膚炎(アレルギ−性皮膚炎)の根本治療に深く関わり治療法を確立したと、確信が持てるまで十年近くの月日がかかりました。ステロイドは麻薬にすぎないと分かってから、ステロイドを用いずにアトピーの根本治療が可能になったのは、まず漢方との出会いがありました。 小学校のころに右目に当たった硬球のために鞭打ち症状と右目だけの強度視力障害を併発し、中学の後半ころから偏頭痛で悩まされ未来を長く悲観して生きた時代がありました。その間、名医を訪ねて自分の病気の原因を探ったのですが誰も答えを用意してくれませんでした。更に、健康も自信も失っていきました。 自分を自ら抹殺する前に自分自身で自分の病気の原因を知るために三つ目の大学である京都府立医科大学に入り直したのです。そこで初めて自分の病気の原因が小学校のころに右目に当たった硬球のためだと分かりました。15年後に分かったのです。第二頸椎が大きくずれて、長期間神経が刺激され炎症を起こし続けていたのでした。15年間放置したため徐々に頸椎が変形し固定してしまったため、もはや手が付けられないと言うわけです。何故もっと早く来なかったのか。もう根治治療はなく痛ければ神経ブロックをしてあげるからと言われるだけでした。元来、繊細な人間でしたのでこの言葉に更に苦しみました。 その後、鬱々として時が経ちましたがこれは自分の運命だからと思い始め、とにかく医者になりました。 それから縁あって結婚したのですが、これが人生の転機になりました。岳父が50年ものあいだ漢方薬局をやってきていまして、偏頭痛は必ず漢方で治るから漢方の煎じ薬を飲みなさいと言いました。西洋医学しか知らない人間にとっては、漢方薬は胡散臭いインチキ薬だという認識しかありませんでしたが、岳父のすすめる薬だからと渋々飲みました。ところが数カ月もしないうちに起床時に必ず有った偏頭痛が消えているではありませんか。私にとっては晴天の霹靂でした。偏頭痛がなければ一日が始まらなかったのですから。ここで初めて漢方の凄さを身をもって体験したのであります。恐らくこの持病の強度の偏頭痛で苦しまなければ医者にもならなかったでしょうし、漢方の出会いもなかったでありましょう。今思えば幸運の偏頭痛であったわけです。 さてそれからというもの歩きながら漢方を勉強しました。分からないところは岳父と漢方に通じている薬剤師である妻に尋ねて勉強を続け、さらにアレルギ−や膠原病の独自の治療法を確立することができたのです。さらに努力を続け漢方の高貴薬である動物生薬である牛黄と熊胆が慢性肝炎に効くことを明らかにして医学博士の学位を取得できたのであります。(これらについては新たに書物を書く予定です。) 革命的アトピーの根本治療法(症状の後始末だけをすれば完治する。) (1)何故私の治療法が革命的アトピー(アレルギー)治療法になるのか? まず私の治療法や考え方が革命的である理由を結論から箇条書きにします。
あらゆるアレルギーの権威ある書物を読んでみて共通することは、まず深く考えずに勝手にアレルギーそのものがはなから否定的に捉えられていることであります。何故このように先入観的にアレルギーが有害だと決め付けらてしまったのでしょうか?その根拠は幾つかあります。アレルギーの研究の歴史を見ますと、普通の人間の生活では決して起こり得ない不自然な実験、例えばイソギンチャクの毒素を犬に注射したり、牛の血清を兎に注射するなどの実験からアレルギーの研究が始まっています。このような実験結果は異常でないはずはないのです。最悪の場合は死に至るような悪い結果が出るものですから、異物の入れ方にかかわらず、どんな異物が人体に入ってもそれを排除しようとする反応(アレルギー) は全て悪いものだという印象を植え付けました。そのようないろいろな実験から、1906年にオーストリアの小児科医ピルケがこのように異物が体に入り、人体にとって有害に見える症状を起こすときに、アレルギーという言葉を提唱したのであります。その語源はALLOS(OTHER)とERGON(WORK)の二つの語を引っ付けて、本来の働きとは異なる(変わった)仕事(反応)すなわち、変わった反応、つまり奇妙な反応という考え方から生まれました。この名称は極めて示唆的であります。というのは、ピルケの時代はあくまでもアレルギーという言葉は学問上の言葉であり、一般の人は誰も知りませんでした。その後、世界は科学文明をどんどん発達させ、十万種類以上の人工化学物質を大量に世界中にばらまいてしまいました。その結果、最近アレルギーはどこにでも見られ、アレルギーという言葉を知らない人は誰もいなくなりました。元来免疫というのはIgM抗体やIgG抗体を作り、その結果2度と病気に掛からないようにしてくれる正しい仕事と考えられてきたのであります。ところが最近の研究で分かったのですが、まず排除すべき抗原と出会ったTリンパ球の指令を受けてBリンパ球がIgM抗体を作り、次に別のTリンパ球の指令を受けて同じBリンパ球がIgG抗体を作るのであります。これを免疫の抗体のクラススイッチと言います。ここでクラススイッチが終わればアレルギーは起こらないのでありますが、人間の免疫はさらに深遠なクラススイッチを行います。つまりさらにTリンパ球の指令を受けて、IgE抗体を作ることが出きるのです。ピルケの活躍していた1900年代の初めは、このようなクラススイッチはおろか抗体という概念さえも無かったのです。従ってこの意味で、ピルケはこのアレルギーのクラススイッチの事実を予言していたとも考えられます。しかしこのようなIgE抗体までを作るクラススイッチを、果たして否定的に捉えて良いのでしょうか?人体は合目的に進化を遂げてきたのであります。必要でなければ進化の過程で不必要な機能は廃棄されたり退化し、必要な機能はさらに改善されてきたのです。ところが誰もがIgG抗体の一万分の一くらいのIgE抗体は常に保有しています。免疫の発生の胎生期に人体は自己の成分に対して免疫反応を起こさないように、自分の成分に対しては免疫寛容(麻痺)というプロセスを経て先天的に非自己だけ反応するよう決められているのであります。これを先見的免疫寛容(麻痺)と名付けて良いでしょう。しかしながら人体に侵入しても増殖はしないが人体にとって有害である物質、つまり毒が侵入したときに生理学的に排除できないときや、また生理学的には排除できる有害物質が大量に侵入したために排除できなくなったときに、人体はどうするでしょうか?その目的の為に密かにIgE抗体を作る能力を温存しておいたのだと私は考えます。つまり、そのような毒がある濃度を超えると、人の生命を奪う可能性があるときに(人間が作った化学物質は、ほとんど全てがあるレベルを超えて人体に侵入すると必ず人を殺してしまうでしょう。)、それを排除するために最後の免疫を発動させ、このときに使う武器としてIgE抗体を作るわけです。これこそ免疫の中に密かに隠されていた最後の正しい手段ではないのでしょうか?そうでなければわざわざ最後にクラススイッチしてIgE抗体を作る余地を残さなかったはずであります。それなのに何故学者はこのような考え方ができないのでしょうか?答えは簡単です。人体から排除すべき化学物質というのは科学文明によって生み出され、必ず人間の幸せを増やすと盲目的に考えられているものですから悪いことをするはずが無いと思い込まれています。現代の人間は、ましてや文明の最先端にいる科学者は、本能的に自分たちが支えている文明が悪をなしているとは決して思いつかず、無意識の内に否定してしまっているからであります。 例えば、天然に見られるクラゲやイソギンチャクに刺されて、その毒を排除しようとしてアレルギーを起こすのは当たり前のことです。なんとならば、この地球上には人間以外に約8千万種の生命がいます。その全てが人間に好意的であるはずがありません。人間は単なる種の一つにすぎないのです。このような天然の種が作り出している天然の異物が、人間にとって有害である異物というのは無限に存在し、それを摂取した後に異物として認識し排除するのは当たり前なのです。宇宙が誕生して150億年、地球が誕生して45億年、生命が誕生して43億年、人類が誕生して250万年といわれます。この生命誕生以来の言わば無限の時間の中でそれぞれの種は敵と味方を分類し、お互いに領域を荒らさずに共存してきたのであります。例えば、アレルゲンは蛋白しか成り得ません。にもかかわらず人間は他の動植物の蛋白を摂取して生存し続けました。どうして食べ物として食べるこのような蛋白がアレルゲンにならないのでしょうか?それは無限の時間の中で自分の生存に必要な蛋白を免疫が異物と認識しないように自然と免疫的に共存できるようになったと考えます。私はこれを進化的免疫寛容と名付けたいのであります。ところが生存のためには不必要な自然に見られる蛋白は、進化的免疫寛容は成立しなかったわけであります。従って古来から天然の異物に対してアレルギーを起こすことは何も不思議なことではないのです。アレルギーを起こさないためには、そのような異物を避ければ良かっただけの話だったのです。ところがアレルギーを起こしたときは、わざわざそのような異物と接触した人間の無知が問題だったのです。触ればかぶれたりするならば触れなければ良いわけであり、食べたり飲んだりしてアレルギーを起こすならば口に入れなければ良かったわけです。ところが現在の文明においては、生きるために嫌が応でも科学技術によって生み出された言わば新種の異物と接触し、吸い込み、飲み込み、食べなければ生きられないが故に、アレルギーが文明病的な最も多数の人が患う病気になってしまったわけであります。21世紀は全ての人がアレルギー患者になっているということを自信を持って予言できます。 私達の身の回りを見てみましょう。科学技術文明の恩恵を受けない生活必需品があるでしょうか?衣食住の全てのものが、何らかの形で人工的な物質が加味されております。江戸時代を思い出してください。この時代は全てが自然から得たものを形を変えただけのものが生活必需品だったわけであります。全て自然循環の中で暮らせば良かったのです。したがってこの時代は100%人工的アレルギーとは無縁の時代でありました。まさにアレルギーとは人工化学物質文明が生み出した文明病なのであります。このような時代にアレルギーを避ける方法は二つしかありません。一つは、文明を否定して人工化学物質の無い自然の状態に生活を戻すことです。例えば日本を逃げ出してアマゾンの原住民と一緒に生活することです。無理なことです。二つ目は、アレルゲンを受け入れて化学物質と共存することであります。アレルギーを起こす人はアレルゲンと戦い、それを排除する戦いに傷つきながらも勝利していることを意味するのです。アレルゲンを受け入れるということは、武器である免疫のアレルギー抗体であるIgE抗体が自然と作られなくなるまで我慢することです。昔は放っておけばアレルギーは自然と治ると言ったのはこのことなのです。問題はIgE抗体が作られなくなるまでアレルギーの戦いが続くということです。このアレルギーの戦いは避けることはできないわけですから、どのようにアレルギーの不快さに対処するかが治療法になるわけです。ところが現代の医者たちは、アレルギーの意味や全貌を全く理解せずに、重箱の隅をつつくことばかりをしています。まず、原因さえ分かろうとしません。今まで何千年もの間、人間が何の問題もなく食べてきた食べ物をアレルゲンと言ってみたり、人間の生活に貢献してきた全ての木の花粉が鼻炎を起こすなどというような愚かなことを言い続け、何の疑問も感じていないのであります。これらは単なる化学物質の運び屋に過ぎないのです。除去すべきは食べ物や花粉ではなく、その中に運ばれている農薬をはじめとする全ての化学物質なのであります。さらに、学者はその治療の為に正しいアレルギーの免疫をいかに抑制すれば良いのかということばかり研究しております。例えて言いますと、丁度このようなアレルギーの免疫を抑制する医者は、細菌が体内に入ってきて熱が出るときにIgM抗体やIgG抗体を作る免疫の為に生じる熱であるから、解熱させるためにこのような抗体の働きをいかに抑制するかに埋没している学者に似ています。ただこのような愚かな学者が存在しないのは、このような研究をしている内に細菌のために人が死んでしまうからです。ただアレルギーの場合は、悠長に的外れな研究が続けられるのは、アレルギーによって排除される異物は、少なくとも当面人の命を奪うものではないからです。ここで考え方をまるっきりかえて、コペルニクス的転回をすればアレルギーに対する治療法も極めて簡単なものになるわけです。これを世界で初めて考え出し行ったのは私なのであります。まさに天動説を地動説に変えた革命的なコペルニクスの考え方と同じく、私の考え方は革命的なのであります。まず第一に、アレルギー反応は正しい。第二に人間の頭脳が作り出した有害な化学物質がアレルゲンであること。第三に、従って絶対にアレルギーの免疫を抑制してはいけないこと。第四に、免疫反応の結果生じた症状の後始末だけをすれば良いこと。第五に、IgE抗体が使われる免疫反応の戦いは必ず負けるわけですが、つまり環境と平和的に共存できることになるわけですから勝つことになります。この五番目の考え方が私の提唱している後天的免疫寛容(麻痺)であります。もっと的確には後天的免疫敗北と言った方が良いかもしれません。つまり負けて勝つという高等戦術であります。私の治療は、何故全ての人に対してアレルギーを完治させる理論に成り得るかというと、どんな戦いも全戦全敗という結果を目指しているからであります。これほど簡単な勝利はないからです。つまり、初めから負けることが勝利であるという奇妙な戦いであるからです。このように逆説的に聞こえるのは、まさにアレルギーが人間の文明が作り出した病気であるからです。どんな人でも、こんな戦いは自信を持ってできるわけであります。私がその司令官であるわけです。無限の汚染環境を敵に回して、有限である人間が勝てるわけがありません。さらに環境がなければ私達は生き続けることは不可能なのです。従ってこの戦い(アレルギー)の戦術(治療法)は、相手(汚染環境)を倒そうとするのではなくて、傷ついた味方の兵士(皮膚)をいたわることです。つまり皮膚が傷つけば免疫を抑制せずに出きる限り早く皮膚の傷を治し、そこに増殖する細菌が増えないようにすること、喘息であれば免疫を抑制せずに呼吸を楽にしてあげること、鼻炎であれば免疫を抑制せずに鼻水・鼻詰まりを取ってあげることであります。このような仕事は漢方煎剤の本領とするところであります。以上で私の革命的アレルギー治療法の意味は十分に理解してもらえたことでしょう。 (2) 何故アレルギー性疾患が増加したのか? 元来免疫とは生命を脅かす細菌やウイルスなどの人体で増殖する異物に対する感染防御の働きを意味しました。細菌やウイルスを殺す武器は体の中で作られるIgM やIgG と言われる抗体であります。一方、アレルギーは世間的には余計な否定的な過剰免疫反応と考えられていますが、私に言わせると免疫の正しい働きの一つであり、微量では生命を脅かさないが、大量では人間に害を与え、人体では増殖できない異物に対する排泄反応、防御反応であり、排泄に用いられる武器はIgE 抗体であります。食べた異物である化学物質を皮膚から排泄する時はアトピ−性皮膚炎、鼻から入ってくる化学物質を排除するときはアレルギー性鼻炎、目から入ってくる化学物質を排除するときはアレルギー性結膜炎、気管支から入ってくる化学物質を排除するときはアレルギー性気管支喘息であります。これらはすべて化学物質から同じように人体を守ろうとする働きであり、武器はすべてIgE抗体が用いられ、使われる場所が異なるだけであることが最近明らかにされました。従ってこれらの全てのアレルギーを同時に治療するために新しくアレルギー科の標榜が許されたのであります。 文明が進歩するにつれて人間は科学の力によって人間だけに都合の良い便利な人工物質を大量に作りだしました。現代人の衣食住の生活の場で完全に自然から得られた物は何ひとつとして無いと言っても過言ではありません。とりわけ人体に取り込まれる水、食物、空気の中に人体にとって異物と認識される化学物質が極めて多く含まれ、それらが無理やり人体に入り込むようになり、人体はこれを排除しようとするのは全く当然のことであり正しい体の働きであります。例えば農薬入りの食べ物を知らず知らずのうちに食べているのですが、食品の中の農薬や抗生物質や添加物を分離して食べなさいと言われたときにこれらの化学物質を食べる人がいるでしょうか?私達はこのような化学物質で調味された食品を喜んで食べているのです。このような化学物質は、勿論生理的には腎臓で処理されると尿となり、肝臓で処理されると糞となって体外に排泄されるわけですが、あまりに多くの化学物質は腎臓、肝臓で処理できずに最後の手段である免疫によって処理されるわけです。そしてわざわざ正常な皮膚を破って、これらの異物を排除しようとするときに見られる症状をアトピー性皮膚炎と呼んでいるわけです。このような働きを過剰反応と言えるでしょうか?この時、化学物質は単独では小さすぎて蛋白から構成されている免疫系に認識されないために、体内の蛋白と結びついて始めて異物と認識されて免疫の働きが発動されるわけです。従って蛋白と結びつきやすい化学物質は抗原になりやすいわけです。さて現代文明にもっともよく見られる無理やり人体に大量に摂取される異物はまさに農薬と考えられます。日本の農薬の生産量と単位面積当たりの使用量は世界一でありアレルギー大国であるのも頷けます。化学物質は微量では化学物質過敏症を生じさらに多くなると化学物質アレルギーを生じ、さらに多くなると中毒死を起こすと言われています。従って農薬の使用量は厳しく制限されており、アトピ−は起こすことがあっても死を招くことは無いわけです。農薬が使用されない後進国においてはアレルギ−は極めて少ないものです。日本の四十年前がそうでした。インドやアフリカなどの後進国を旅行している日本のアトピーの患者の症状が消えてしまうことは良く聞くことです。また先進国においてもパンを主食とするヨ−ロッパではアトピーは極めて少ないものです。それはパンの原料である小麦の栽培には農薬が不必要であるからです。というのも小麦は害虫に対して極めて強靱であるからです。ヨ−ロッパに滞在中の日本人のアトピー患者の症状が改善するのはよく見聞きすることであります。 (3) 真のアトピ−の根本治療はなにか? アレルギ−を起こすアレルゲン、つまり蛋白と結びつく化学物質を人体に入れないことです。積極的には文明社会から化学物質を一切除去することです。すくなくとも日本での農薬の使用を禁止することです。しかしこれは不可能なことです。政治的にも経済的にも社会的にも文明的にも無理な話です。( しかし最近、完全な無農薬有機農業が脚光を浴びつつあります。)消極的には農薬や他の化学物質のない国に永久移住することです。どちらも無理なことです。 (4) 次善のアレルギ−の根本治療は何か? 一言で言えば、昔の様に医者に行かないで放置すれば必ず原理的には治ります。言わばアレルギーとは環境と人体との戦いであり、決して勝てる戦いではないのです。何故ならば人体は有限でありますが、環境は無限であるからです。常に戦いは強い側が勝ちます。有限が無限に勝てることはありません。つまりこの戦いの武器であるIgE抗体は無限に作られるわけではなくて、自然に作られなくなり、体内から消えてしまうのであります。この事実は私が発見したのであります。これが私のアレルギー根治の根本原理でありますが、実際の治療において一番大切なことは、アトピ−の合併症でもあり、かつ見かけの症状でもある皮膚の傷をできるだけ早く治し、同時にその傷にひっついて増殖し皮膚をつぶそうとする黄色ブドウ球菌を殺すことだけは忘れてはならないのです。この創傷と感染の二つの問題だけに正しく対処すればアトピーは自然に治るのです。この時に漢方は絶大な力を発揮してくれるのです。と言うのは、医療として二つの合併症の中で理論的に一番恐れるべき合併症は、表皮の感染が体内に波及して敗血症や髄膜炎になることです。ところが創傷さえなければ感染は起こり得ないわけですから、いかに早く皮膚の傷を治癒させるかが実際的な最大の問題になります。このとき漢方煎剤や漢方薬湯がいかなる他の西洋薬よりも著効を示してくれるわけです。このような完治の理論と実際とを教えてくれたのは、完治まで私の治療についてきてくれたアトピーの患者さんであります。始めから私が知っていたわけではありません。私が始めから仮定をたてて、それを実践して証明したわけではなく、全てステロイドを使わずにアトピーを完全に治してあげた患者さんの経験から学んで打ち立てた理論であります。従ってこの理論は私のみが知っており、勿論優れた博士論文に成り得るわけであります。何故私だけがこの事実を知り得たかというと、恐らく世界で一切ステロイドを用いずにアトピーの治療を行ってきた医者は私だけしかいないからです。ステロイドは炎症のみならずこのような貴重な理論と事実を隠してしまうこともあり得ることを考えると、本当に罪の多い薬と言えます。(すでに私は医学博士号をもっているわけですから、機会があれば薬学博士号をも取得する予定でいます。さらにアメリカの学会に発表するために、英文の論文を準備しているところです。) 外部から侵入してくる異物を抗原またはアレルゲンと言います。しかし多くの場合は化学物質は分子量が小さく、それ自身だけではアレルゲンには成り得ません。必ず分子量の大きい蛋白と結びついてはじめてアレルゲンになるわけです。これらの化学物質をハプテンと言います。優れた免疫機能を持った人体はハプテンと蛋白とが結びついたアレルゲンを見つけると免疫機構を発動させて、最終段階でIgE 抗体を作りアレルゲンと結びついて、このアレルゲンを排除しようとする戦いを始めます。わざわざ皮膚を破ってアレルゲンを人体の外に追い出そうとします。よりによって自分の皮膚を傷つけ、かつ痒みに耐えて異物をやはり排除しようとし続けるのは、その異物が体内に蓄積すると死をまねくという免疫機構の認識によるものだと考えます。いたいけな赤ちゃんの激しいアトピーの症状は、人間に対して化学汚染環境を自然な美しい環境に戻して欲しいという叫び声のようにも聞こえます。しかしこの抗原抗体反応の戦いは必ず敗北に至ります。何故ならば人体において特別に作られるIgE 抗体は有限でありますが、環境に見られる農薬や化学物質は無限であるからです。とりわけ新生児や赤ちゃんのIgE 抗体産生能力は極めて弱いものですから簡単に負けてしまうわけです。しかもこの戦いに敗北して農薬を排除できないからといって死ぬわけではない点が文明の病気であるわけであります。何故かというと日本の農水省は農薬の摂取があるレベルを超えると人命を奪い取ることを知っていて、農薬の使用量を厳しく制限しているからです。つまり負けて勝つという高等戦術と言えます。ところが毎日大量に食物から入ってくる異物が細菌ですと、体内で無限に増殖してしまい負けると死ぬわけですからこのようにはいきません。しかし農薬は体内で増殖するわけではありませんし量も制限されているわけですから、戦いに自然に負けても汚染された文明環境と同居することができるわけです。三十年前にはアトピ−は自然に治るから放っておけばいいと言ったものです。(勿論このころは何故自然に治るのかは全く分からなかったのですけれども、経験的に知られていた事実であります。)私が世界で初めて見つけ出した理論と事実というのは次の事柄です。つまり、アトピ−は放置しておけばIgE 抗体は作るだけ作られ、使うだけ使われてしまい毎日体内に無限に侵入してくる大量のアレルゲンと戦い続けるのですが、遅かれ早かれIgE 抗体という兵士は作り尽くされ、使い尽くされて体内で起こっているアトピ−の免疫反応は終わってしまうわけであります。これがいわゆる自然治癒であったわけです。この事実はいかなる優れたアレルギーの書物にも書かれたことがなく、私が初めて見つけ出した事柄であります。実を言えば私たちが見ている皮膚の症状は免疫反応であるアトピ−の実体ではなく、アトピ−の合併症である異物が排除されたあとの傷とその傷に繁殖した黄色ブドウ球菌から作られたα毒素による皮膚の崩壊をみているだけなのです。人間の目というのはいわば節穴みたいなものですから目に見えた症状に対してだけ医者も患者もアトピ−、アトピ−と騒いでいるわけですがこれはアトピ−の実体ではなく、体のなかでおこっているアトピ−という免疫反応の跡を見ているというべきものです。従って体のなかで起こっている免疫反応であるアトピ−の実態に対しては人間は感謝こそすれ反応を無理にとめてはならないのです。ただ表面に現れた症状である創傷とその傷に繁殖した黄色ブドウ球菌とその菌から作られたα毒素による皮膚の崩壊だけに対処すれば良いのです。傷を治したりするわけでもなく、黄色ブドウ球菌の繁殖を抑えるわけでもないステロイドや抗アレルギ−剤や抗ヒスタミン剤を用いだして体の中で起こっている本体のアトピ−の免疫反応を抑制して、その結果として症状だけを良くしてきたためにアトピ−の自然治癒が見られなくなりました。つまり自然治癒がなくなったのは正に皮肉にもアトピ−の治療に皮膚科に行ってステロイドホルモン剤、抗アレルギ−剤や抗ヒスタミン剤を使いだしたためであるわけです。おまけにステロイドにより、アトピーの免疫反応に関係の無い皮膚の遺伝子まで変化させてステロイド皮膚症を作り出してしまったのです。従って現代のアトピ−の治療は正に病気を作り出しているのです。さらに体内でIgE抗体を一時的に産生したり使用することを抑制すると薬が切れたときに必ず禁断症状(薬の効果が切れたときの症状)が出現し、IgE抗体がさらに増産され体内を駆け巡り他のアレルギ−であるアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性気管支喘息をも引き起こしてしまうこともあるわけです。逆に言うと、私のアトピーの根治治療はIgE抗体を自然消滅させるわけですから、他の全てのアレルギーも完治してしまうのです。
(5) 何故ステロイドホルモン剤や抗アレルギ−剤や抗ヒスタミン剤を用い続けるとアトピ−は治らないのか? 症状を一時的に止めるということは、IgE抗体の生産と消費を見かけだけ抑制し同時に他の免疫反応を一時的に止め、その結果症状が一時的に良くなるだけです。つまり症状を直接的に良くしようとしているのではなくて、外から見えない体内の免疫反応を一時的に抑制することが一時的には症状を起こさなくしますが、再びIgE抗体の産生と利用が勢いよく始まりアトピーをさらに悪くするわけです。つまりステロイドホルモン剤、抗アレルギ−剤や抗ヒスタミン剤などを使えば使うほど見かけはIgE 抗体を減らすことは出来ますが、実際はIgE 抗体生産のシステムを寝かせているだけです。強力なステロイド内服剤やステロイド注射を用いればIgE抗体をほとんどゼロにすることもできます。しかし使用を止めると必ず抑制したぶんだけ勢いよくIgE 抗体生産が再開して症状が始より必ず悪化するわけです。( 正常な人のIgE 抗体は100(IU/ml) 前後までと言われますが、68000(IU/ml) まで上昇したアトピ−患者がいました。) 元来、アトピーは皮膚の細胞の問題ではないのです。皮膚はただ単に体内に取りこまれた異物の排泄のルートにすぎないのです。従って、アトピーは人体全体の免疫の問題であって、決して皮膚の問題ではないのにもかかわらず、ステロイドホルモン剤を皮膚に直接塗布して吸収させ体内の免疫反応を一時的に止めることによって、見掛けの皮膚の症状を良くすると同時に、本来正しい皮膚の細胞をどんどん変性させ、ステロイド皮膚症を作り出していくわけです。さらに皮膚の崩壊を防ぎ炎症が皮膚におよばないようにコ−ルタ−ルを皮膚に塗り付ける医者もいます。いわば皮膚の正常な遺伝子を一時的に異常にして炎症を起こらないようにできるわけですが、そのために皮膚が薄くなりさらに赤黒くなってきます。見かけは炎症は抑えられてきれいに見えますがステロイドホルモンを使いすぎた人はインド美人の様な黒い皮膚になっていきます。より黒い皮膚はステロイドやコールタールによってもたらされたものであります。ところがステロイドホルモン剤や抗アレルギ−剤を止めると再び自分の皮膚の正常な遺伝子を取り戻すために皮膚が崩壊していきます。(異常な遺伝子を持った皮膚は癌でない限り分裂して成長することは出来ません。ただ正常な遺伝子を持った皮膚の細胞だけが正常に分裂・増殖して、その結果ステロイドの影響を受けて分裂できなくなった細胞が排除されて剥がれていくわけであります。)このようにステロイドをはじめとする抗アレルギ−剤を止めると必ず一時症状が悪化します。これをリバウンド現象( 反跳現象、禁断症状、離脱症状、つまり薬を止めたときに出現する症状) と言います。 抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤はステロイドの作用の一部を持っており、アレルギーの免疫反応の一過程の働きを一時的にブロックするだけですから、薬が代謝されてしまうと一時的な反応の阻止力が無くなり、また再び反応が勢いよく開始されるので多少とも同じようなリバウンド現象が見られるわけであります。 さらに、ステロイドや抗アレルギー剤を用いてはいけないもっと重要な理由があります。それはこのような免疫抑制剤を用いれば用いるほど私の唱える自然後天的免疫寛容が起こりにくくなるからです。要するに自然後天的免疫寛容とは、相手が強すぎれば排除する戦いを止めざるを得なくなることなのです。ところが自然後天的免疫寛容といえば、いかにも簡単に自然にアレルギーの戦いが終わりそうに聞こえるのですが、実を言えばこの免疫寛容が起こるためにも免疫の働きが必要なのです。つまり勝てる訳ではない敵と、いつまでも戦い続けることは意味がないと認識しこの戦いを止めさせる命令を出す働きが必要なのです。この働きを担うのはサプレッサー(抑制)T細胞というリンパ球の一つなのです。 そして、このリンパ球から戦いを終結させる情報を持ったサイトカインという生理活性物質の一つが出ない限りは、永遠に戦いは終結しないのです。 ところが免疫抑制剤はこのサプレッサーT細胞の働きをも抑えつけてしまうのです。従って免疫抑制剤で一時休戦をさせて、見かけの症状を改善すればするほどサプレッサーT細胞の働きも抑制されて、さらに根本治療から遠ざかるという皮肉な結果になるのです。従ってステロイド剤や、抗アレルギー剤の投与量が大量であればあるほどリバウンドが激しくなるだけではなく、サプレッサーT細胞の抑制が解除されるのに時間がかかり、その結果、自然後天的免疫寛容が起こるのにそれだけ長い時間がかかってしまうのです。実際、私の治療を途中で止めてしまう患者の多くは、単にリバウンドが激しくて耐えられなくなるためだけではなく、リバウンドが激しければ激しいほど、抑制Tリンパ球をそれだけ強く抑制して来ているので抑制Tリンパ球が目覚めるまでそれだけ時間がかかりすぎ、自然後天的免疫寛容が起こるまで待てないのです。その結果残念なことに、アトピーは治らないと思いこむのです。(もちろんこのような患者の大部分は、アトピーは皮膚の問題ではなくて、免疫の問題であり、直接的にはIgE抗体の産生能力の問題であることを、始めからいくら説明しても理解していない場合が多いのですが。) さらに免疫系が未熟である乳幼児期からアトピーの為に、リンデロンのシロップや顆粒を飲まされてきた人は唯単に抑制Tリンパ球が抑制されているのみならず、抑制Tリンパ球そのものの働きが傷害されている可能性があります。私の患者の中には、治ったと思うと再び激しいリバウンドが起こることを繰り返しいつまでもいつまでもIgE抗体が減っては増えるという繰り返しを続け、免疫寛容が起こりにくい人がいます。このような異常が起こる理由は次のように考えられます。つまりあるアレルギーの免疫系の働きを終結させる抑制Tリンパ球の成熟を、ステロイドや抗アレルギー剤が阻害してしまったという印象があります。この意味でも乳幼児期にステロイドや抗アレルギー剤を使うことは許されないと考えます。ステロイドや抗アレルギー剤は止めたらリバウンドが起こるから使ってはいけないというよりも、このように抑制Tリンパ球を抑制するために根本治療が出来ない上に、抑制Tリンパ球自身の障害をももたらすことのほうが実は遥かに重大な問題になるのです。言いかえれば、免疫抑制剤がアトピーを始めとするアレルギーを治すことが出来ない理由は、サプレッサーTリンパ球も抑制したり、障害したりするためであるのです。 ここでサプレッサーTリンパ球について簡単に述べておきましょう。例えば、風邪のウィルスに感染すると、そのウィルスをやっつけるために、免疫はそのウィルスに対する抗体を作ってウィルスを排除し、退治し終わると風邪は治ります。治ってしまえばこのウィルスの抗体を作りつづける必要はありません。従って免疫の働きの中にはこの抗体を作ることを止めさせる働きが内蔵されているのです。この働きを担うのがサプレッサー(抑制)Tリンパ球なのであります。このTリンパ球が戦いを止めさせる指令が発令されて初めて、このウィルスに対する抗体が作られなくなるのです。 (6) したがって松本医院における根本治療は何か? ステロイドホルモン剤、抗アレルギ−剤や抗ヒスタミン剤などの免疫抑制剤を絶対使わないで放置すれば治るという自然治癒を目指すことであります。ステロイド剤、抗アレルギ−剤や抗ヒスタミン剤を一度も用いていなければ極めて簡単に治ります。成人の場合は早く治る人で 1週間で良くなります。赤ちゃんは早ければ1 カ月でよくなります。勿論、大人も赤ちゃんも一回の診療で完治する例もしばしば経験します。それはステロイド剤、抗アレルギ−剤や抗ヒスタミン剤を用いなければIgE抗体 は極めて簡単に消費尽くされるからです。早く治る人は数少ない種類の化学物質だけを異物と認識して、一過性に症状を出してその異物と共存できます。元来、誰でもIgE抗体 は100(IU/ml)くらいは持っています。(従って濃度の極めて濃い多種多様の異物が体内に接触したり侵入したりすれば、全ての人がアレルギーを起こす可能性がありますから、果たしてアレルギーが病気であるかどうかが問題になります。これについては後に議論します。)しかし異物を認識する能力の高い優秀な人はIgE抗体 を100(IU/ml) 以上に作って異物を排除しようとする時に目に見える症状がでるわけです。従って症状がでたらすぐに来院されたら、すぐにひっかき傷を治し、さらに傷につく細菌をいち早く殺せば簡単にIgE抗体 は100(IU/ ml) を切ってしまいます。しかしステロイド剤、 抗アレルギ−剤や抗ヒスタミン剤を使用してから来られると、必ず一時的に症状が悪化しリバウンド現象( 反跳現象、 禁断症状、離脱症状) が出現し、どんどんIgE 抗体が上昇していきます。IgE 抗体が上昇すればするほどアレルゲンとの結びつきが激しくなりどんどん症状も激しくなります。このリバウンド現象はそれまで使ってきたステロイドや抗アレルギ−剤の量に比例します。またどのようなステロイドや抗アレルギ−剤を使ったかにも依ります。ステロイド注射が最悪です。つぎにステロイド内服剤や抗アレルギ−内服剤が悪者です。次がステロイドの塗り薬です。最後が抗アレルギ−剤、抗ヒスタミン剤や抗炎症剤の塗り薬です。従って何はともあれ、まずはステロイドや抗アレルギ−剤、抗ヒスタミン剤や抗炎症剤の使用を止めさせることです。ところで、ステロイドホルモンという薬は人体で必要な量だけ作られ、多くても少なくても病気を引き起こします。ところが、臨床においては病気の治療に最もよく使用されている薬であるにもかかわらず、何故すべての炎症に効くのか全く知られていない得体のしれないホルモンであります。( この炎症に効くメカニズムを完全に解明すれば必ずノ−ベル賞をもらえるでしょう。) 現代の難病と言われる全ての膠原病や、リュウマチ、アレルギ−、アトピー、喘息などに用いられて、一時的に極めてよく効くのですが、止めると多かれ少なかれ必ずリバウンド現象( 反跳現象) が出ます。時には他の華々しい副作用が出ることがあります。ステロイドや抗アレルギ−剤を止めさせると口で言うことは簡単ですが、しかし実際はこれほど難しい事はないのです。何となれば弱いステロイドが効かなくなるとさらに強いステロイドを用いざるを得なくなります。ステロイドを止めると始めよりも症状がひどくなるのは、まさにステロイドは麻薬の性質を持っていると言えます。従って必ず禁断症状(薬を止めたときに出る症状)が出現します。もっとくわしく何故禁断症状が出現するかと言いますとステロイドや抗アレルギ−剤はリンパ球や他の免疫にかかわる細胞と結合して、それらの免疫細胞の遺伝子を変え免疫反応を一時的に抑制するだけですから、結合が切れると再び一挙にに免疫反応を行い症状がひどくなるわけです。(このリバウンドのメカニズムも謎です。)ステロイドや抗アレルギ−剤や抗ヒスタミン剤の使用が多ければ、それだけそのような薬剤に結合しているリンパ球や免疫細胞が多いわけですから、多いぶんだけ薬を止めた時の免疫反応が強くなるわけです。さらにステロイド自身が皮膚の細胞分裂を抑え皮膚を変性させステロイド皮膚症という新たなる副作用を起こしますから、この皮膚を剥がし新たに作りなおすことがまた大変な仕事になるわけです。つまりステロイドで変性させられた異常な皮膚を剥がし、その後正常な新しい皮膚を作り替え、更にステロイドや抗アレルギ−剤で止められていた正常なアレルギ−の抗原抗体反応を起こさせ、最後は人体に大量に入り込んだ農薬をはじめとする化学物質という無限の抗原(アレルゲン)に対しては有限なIgE 抗体は永遠に作り続けることが出来ないのだという事を自然に知るようになるわけです。とにかく日本においても何千万人ものアレルギーを引き起こす汚染環境を敵に回して、一人の人間の免疫がそれを永遠に排除する戦いに勝つことは不可能なのです。これを自然免疫麻痺、自然免疫無活動、自然免疫寛容と言います。(このメカニズムを完全に解明すれば必ずノ−ベル賞をもらえるでしょう。)このようにして最後は戦いに負けて環境と共存して生き延びていかざるを得ないわけです。この禁断症状を乗り切らなければ絶対にアトピ−は治癒しません。体は正直ですから正しい反応であるアレルギ−反応を抑制されたぶんだけ記憶し、自分の正常な免疫機能を取り戻す際にこの禁断症状がでるわけです。免疫は記憶のシステムであります。一度かかった病気には二度とかからないために敵を記憶しておくというのが免疫、つまり疫(病気)から免れる(かからない)という意味です。一方正しい免疫反応を起こしているときに、無理やりその免疫反応を抑制されると、その分より一層強く敵を記憶して抑制が取れたときに一挙に強いアレルギー反応、つまり禁断症状を起こしてしまうという側面が免疫にはあるようです。(このことを証明すれば何か優れた賞が取れるでしょう。)しかしこの禁断症状を耐えきった人だけがアトピ−は完治する資格を得るわけであります。アトピ−だけが完治するだけではありません。ほかのすべてのアレルギ−であるアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性気管支喘息も同時にすべて治ってしまうことはすでに述べました。同時に又この禁断症状を乗り切らせることが私の医者としての腕の見せ所となるのです。従ってこの禁断症状を起こさせるのは正にステロイドホルモンや抗アレルギ−剤や抗ヒスタミン剤であり、薬が作った病気、つまり医薬病や医原病と言える病気であります。ステロイドや抗アレルギ−剤、抗ヒスタミン剤さえなければ起こりえない禁断症状であります。 (7)漢方とアレルギー(アトピー) 現代のアトピー治療は全てアトピーの症状の根本である免疫活動を一時的に抑制するだけですから永遠に治らないことは何度も述べました。私が発見した治療法は、いかなる自然の免疫の働きは正しい反応ですから抑制しなくても、いずれこの正しい反応も無限に続かなく、自然と終結するので症状の後始末だけをすれば良いということです。アトピーの場合は体内から異物を皮膚から吐き出すときに傷ができ、その傷にブドウ球菌や連鎖球菌が繁殖して、様々の症状が目に見えている症状になるわけですから、傷を治すことと菌を殺すことだけが医者の仕事になるわけです。この時に漢方の出番になります。漢方煎剤や漢方浴剤は傷をすぐに治し、同時に細菌の繁殖も抑えることができるのです。症状の出るたびごとに、傷を治し菌を殺すことをIgE抗体が下降しきるまで繰り返し行うわけです。勿論、漢方は免疫を高めて早くIgE抗体を使い切るのに少しは貢献していることは言うまでもありません。例えば、他のアレルギーの気管支喘息やアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎や消化管アレルギーの場合も、漢方を飲めばたちどころに様々なアレルギーの症状を除去してくれます。しかしどんなアレルギーの漢方治療の場合も抑制されていたIgE抗体は必ず上がっていきますから、免疫を抑制しているわけではありません。にもかかわらず症状が楽になるという点が漢方の偉大さであります。ところが、この漢方を現代医学は科学することができないのです。その理由は幾つかあります。漢方薬の研究においては、現代科学の力では生薬成分が未だ完全には特定できなかったり(全ての成分を特定することは永遠に不可能でしょう。)、薬剤として常時一定の品質を保つことが難しいなどの問題がありすぎるからです。さらには個々の成分の相互作用を考えると、今盛んに話題となっている複雑系の分野に属する事柄になり、さらに漢方の研究を難しくさせています。また漢方の経験処方は、必ず二つ以上の生薬から成り立っています。従って漢方薬の効能は単一の生薬の成分の効能によるものではなく、複数の生薬の成分の相加・相乗・相減作用に基づく効果が発揮されていると考えられます。現代医学は単一の成分だけを用いるのが原則でありますが、漢方では単一の成分を用いるよりも複数の成分を併用することが、遥かに薬効を発揮でき、さらには副作用も軽減できることが経験的に分かっているのです。ここが現代西洋医学の要素還元主義的な薬の用い方とは異なり、漢方薬が複数の生薬を用いる所以であります。一方、現代医学は漢方の考え方とは違って、薬の相加・相乗・相減作用などをはなから認めようとしません。認め始めると現代医学が成り立たなくなるためです。逆に西洋医学の薬は併用することによって副作用が出ることがしばしば問題になります。このような意味においても、漢方と西洋医学とは土俵が違うわけであります。 古来から病気の大部分は見かけ上炎症という症状で現れます。この見かけ上の炎症を除去すれば結果として病気は治るということを、漢方を作った古代中国人は知っていました。勿論、免疫や抗体やウィルスや細菌などについては目に見えないものですから全く知らなかったわけですが、その代わりにいかにして患者の症状を楽にしてあげようかと努力を注いだのです。そしてまさにこの炎症から生じる症状を改善することの出来る草根木皮を探し尽くしたわけです。しかし炎症といってもいろいろあります。一番代表的な炎症は感染症によるものです。これについては細菌に対しては抗生物質により一応根本的に征服されたと考えられています。( しかし最近の大腸菌によるO-157 騒ぎはまだまだ細菌も手強い敵でありつづけているようです。) つぎにウイルスでありますがエイズウイルスでわかりますようにエイズウィルスそのものを殺すのにまだまだ時間がかかるようです。いずれにしろ漢方は結果的に人間自身が固有に持っている免疫力を上げることで対応し、さらに病人の症状だけをできるかぎり楽にしてあげようとした努力が漢方経験処方として私達に伝えられてきたのであります。 ここであらためて私が考案した漢方煎剤が免疫を抑制しないことを詳しく証明しておきたいと思います。勿論いろいろと証明の仕方はありますが、言わば毎日毎日臨床免疫学をしていると言える開業医の立場から一つの答えを出しておきます。免疫抑制剤の代表であるステロイド剤は使えば使うほどIgE抗体の産生を抑制することができます。IgE抗体をゼロにすることもできるのであります。例えば、アレルギー患者に毎日毎日ステロイドを注射するとか、ステロイド内服剤を毎日毎日大量に服用させれば理論的にはIgE抗体はゼロになってしまいます。ところが、そのステロイドを止めると急激にIgE抗体の産生が始まり、抑制されたIgE抗体がどんどん上昇していきます。と同時に症状がどんどん激しくなっていきます。こんなときに再び症状を一時的に除去する為にステロイドを用いると、症状も良くなると同時に再びIgE抗体が下がっていきます。これがステロイドの免疫の抑制の意味であり、基本的には現代医学のアレルギーの治療で行われていることであります。一方、ステロイドを止めると同時に漢方煎剤を用いてリバウンド症状を楽にしていくにつれてIgE抗体が上がっていきます。これは漢方煎剤が免疫を抑制することがないことの一つの証拠です。ここで賢い人は次のようなするどい質問をするかもしれません。「ステロイドの離脱症状の方が激しくて漢方煎剤の抑制作用が隠されているのではないか?さらにあなたの言う自然後天的免疫寛容というのは漢方煎剤の免疫の抑制の始まりを意味しているのではないのでしょうか?」と。それに対して私は次のように答えます。「ステロイドの抑制作用がいずれ取れ、同時にステロイドのリバウンド現象も終わったときに、もし隠されていた漢方煎剤の免疫抑制作用があればご指摘の通り再びIgE抗体は下がるでしょうが、同時にアレルギーが治ったから漢方煎剤を飲む必要が無いので漢方を止めるとしましょう。そうすれば再び漢方煎剤の免疫抑制作用の結果、必ずリバウンド現象が出てしまうでしょう。ところが私が後天的免疫寛容が生じ、全てのステロイドの副作用を除去できたのでアトピーが治り、鼻炎が治り、喘息が治ったので漢方煎剤を服用する必要は無いと宣言した患者には、絶対にリバウンドが出ることはないという事実をどのように説明できるでしょうか?つまり、漢方を止めたからといって再びIgE抗体が上昇し、症状が再発することはないわけですから、漢方煎剤には免疫抑制の作用は絶対に無いのです。」と答えるつもりです。この質問は自然後天的免疫寛容を漢方煎剤の免疫抑制の始まりと指摘するところにポイントがあるわけですが、生後5・6ヶ月までの赤ちゃんは漢方を飲むことができません。従って何をしているかと言いますと、漢方浴剤に入ってもらってアトピーの炎症の傷や引っ掻き傷を癒すだけで自然と後天的免疫寛容になってしまいアトピーが完治してしまうのであります。アトピーの治療における漢方煎剤というのは飲まなくても時間は掛かりますが、傷を治しブドウ球菌を殺すだけで免疫は放置しておけばIgE抗体は作られなくなりアトピーは自然と治るということを再び強調しておきたいと思います。漢方がアトピーを治しているのではないのです。 今さら言う必要は無いのですが、様々な漢方研究施設で実験的にも漢方処方が免疫を促進させることを証明しております。 (8)実際の治療上の問題 従ってアトピ−は放置すれば、自然に農薬環境をはじめとする化学物質環境に負け、環境に適応し、武器であるIgE抗体が作れなくなるという自然免疫麻痺の状態になり治癒するわけですが、実際はアトピ−の合併症である創傷とブドウ球菌感染との二つの問題に如何に対処するかが一番重要になるわけです。私達が見ているのは体内で行われている免疫反応ではなくて、この合併症にすぎないのです。アトピ−の合併症の第一は創傷であります。それは創傷がなければブドウ球菌は増殖して皮膚を潰すことができないからです。勿論創傷の中には免疫反応の炎症による直接的な傷と引っかき傷とが含まれています。従っていかに早く創傷を治し、そこに増殖する表皮黄色ブドウ球菌をやっつけるかがアトピ−治療の全てといっても過言ではありません。つぎに炎症によって蛋白が血管から漏出したために生じる栄養不良に対してや、蛋白が水を同時に血管外へ引っ張り出した結果出現する浮腫や喉の乾きに対して、さらにこの蛋白と水が体外へ出てしまうときに生じる体重減少などに対しての十分な蛋白と水の補給が絶対に必要となります。他に眼科の領域に属するアトピ−性白内障、アトピ−性網膜剥離があるかどうかに対して慎重に観察しなければなりません。ところでアトピ−性白内障はアトピーによる白内障と言うよりも、ステロイドホルモンの過剰投与によりステロイドによってもたらされたステロイド性白内障であると考えられます。何故ならば、体内から異物を排泄するルートに、わざわざ頭蓋骨や眼球を通り最後に水晶体を通って化学物質を体外へ出すことは不可能であるからです。またアトピ−性網膜剥離は掻いたら駄目と言われた患者はたまらなく顔を叩くために起こることはすでに知られていることです。痒みはアトピーの免疫反応の最終段階である皮膚の崩壊の前兆に過ぎないわけですから、どんどん引っ掻いて化学物質を含んだ悪い皮膚をつぶしてもらえればもらうほど理に適っているわけです。さらに痒みは掻けば快適なものですから掻くことを楽しみとして考えれば何もそれほど問題にはなりません。私の考えでは人間の体は進化の過程を通じて、合目的に作られてきました。痒みというのは掻けば気持ちの良いものでありますから、人体はいち早く引っ掻いてもらって、早く皮膚を崩壊させ異物を皮膚から出すことを望んでいると考えます。しかも痒いときは寝ていても掻いているわけですから、掻くということは本能の領域に属することだと思います。ちょうどお腹が減れば食べるということは正しいことであるのと同じ事なのです。従って「掻きたければ掻きなさい。」というのは人の道に適っているわけです。掻いたら駄目だと言う皮膚科の医者はこのような二つの意味で全く不合理なことを言っているわけです。勿論掻いた後の傷をいかに早く治すかが医者の第一の仕事になるわけです。勿論、どうしても掻きたくない人は痒みを止めたければ患部を氷で冷やせば楽にはなります。 実際の治療上の問題点を四つ下に挙げます。一言でいえば体温の上昇がないこと(つまり体内で感染が起こっていないこと)と、体重の増減がないかぎりにおいてはいかなるリバンドの状況になろうとも生命には全く問題はなく、必ず最後には正常な皮膚を取り戻してあげることができます。因みに同じアレルギーでも気管支喘息は常に死の危険がつきまといますが、アトピーの場合は死ぬ心配は全くないわけですから治療する者にとっては気楽なものであります。 1)創傷 この傷から蛋白がもれでて黄色ブドウ球菌のえさとなりブドウ球菌は分裂を繰り返し、α毒素をどんどん作り出して皮膚をつぶして症状をさらに拡大し深刻にしていきます。傷がなければ黄色ブドウ球菌も増えることができないのですからいかに早くこの傷を治すかがアトピ−の治療で最も重要なポイントになります。昔から傷は日ぐすりで治すと言われるように時間がかかります。しかし漢方はこの傷を出来るかぎり早く直して傷を塞いでくれます。この傷を早く治し早く皮膚を作ってくれることが漢方の仕事のひとつです。つまり漢方がアトピ−を治すというよりも、傷の後始末を早くしてくれるというわけです。というのはアトピーが治るというのは二つしか方法がありません。IgE抗体を作る力があっても化学物質が体内に侵入しなければアレルギーは起こらないわけですから、一つは化学物質を体内に入れないことであります。二つ目は何度も繰り返していますように、IgE抗体を使い尽くすことです。この二点に漢方が貢献することはほとんどないからです。漢方はアトピーの合併症のみに対して有効であると言えるわけです。 2)感染( 黄色ブドウ球菌, ヘルペスウイルスによるカポジ−水痘様庖疹と単純ヘルペス。) 感染があるかどうかは体温計で37.2度以上の熱があるかどうかで判断します。黄色ブドウ球菌によるものであれば抗生物質を飲めば治りますすし、ヘルペスウイルスによるものであれば抗ウイルス剤を飲めば治ります。37度前後までの熱はアレルギ−熱でアトピ−の人によく見られるアレルギーの炎症による熱ですから心配はありません。しかし熱がなくても抗生物質や抗ウイルス剤を塗ったり飲む必要がある場合があります。それは次のような状況のときです。皮膚の傷があまりにも多いときや耳のなかの皮膚に黄色ブドウ球菌が繁殖して耳の中が痛い時や、さらに時には頭痛がするときも抗生物質を飲む必要があります。またリンパ節が腫れたりするときです。従ってリバウンドのある人は体温を毎日計って下さい。熱がある時は必ず抗生物質や抗ウィルス剤を飲む必要があります。何回も繰り返しますがアトピ−の治療で最も大切なことは、結局はいかに黄色ブドウ球菌を体内に入れないかということだけです。発熱が無い限りは、いかなるリバウンドも恐れるに足りません。 3)アトピ−性白内障、アトピ−性網膜剥離 絶対顔を叩かない。無理やり目を叩かない。目を擦り過ぎない。つまり、眼球に強い振動を与え続けると眼球の網膜が眼底から剥がれてしまい、回復不能になり失明にいたることがあります。痒ければ掻いて楽しめば良いわけです。勿論、漢方で痒みを止める処方は全くありません。さらに痒みを止めるという事は、免疫反応を一時的に抑えるだけですから、アトピーの根治治療にとっては有害となります。(目が痒い時はアレルギ−結膜炎ですがこれは漢方で簡単に治ります。)これらはアトピ−の皮膚の症状とは全く関係のない目の病気でありますがアトピ−の重篤な合併症であり、定期的に眼科の検査が必要であります。特に網膜剥離は発見が遅れると私自身は経験したことは有りませんが失明にいたることがあるようです。白内障については何度か経験しておりますが、手術で治ります。しかし、白内障がどうして起こるのかはまだ分かりません。ただ私の考えでは、水晶体が体内に入った異物を排除するルートとして用いられることは不可能であるために、アトピー性水晶体炎という病気はないわけですから、白内障は他の原因で生じていると考えられます。突然に炎症ではなく変性疾患である白内障が起こるのはステロイドの影響が関与し、従って正しい病名はアトピー性白内障ではなくてステロイド性白内障と言うべきです。 4)炎症がひどい人は皮膚の崩壊もひどく炎症細胞を多く含んだリンパ液とともに蛋白が血管やリンパ管から出ていきます。組織間にリンパ液が留まる時にはむくみが増え、従って体重が増えます。逆にリンパ液が皮膚から体外へ出てしまうと体重が減ります。どちらも栄養状態が悪く蛋白を補う必要があります。こんな時には大量にプロテインを補給する必要があります。従ってリバウンドの激しい人は体重を毎日計って下さい。( 正常な人の血液の総蛋白は6.5(g/dl) 以上ですが, 血液の総蛋白が2.8(g/dl) まで減った人がいました。しかし生命には全く異常がありませんでした。この方も元気で社会復帰しておられます。)浮腫みがないのに体重が増え始めたら、もはやプロテインは飲む必要はありません。 5)蕁麻疹 アトピー性皮膚炎を治療していく中で、しばしば蕁麻疹が見られることがあります。しかもアトピーが完治に近い後半になって出現することがあります。蕁麻疹はいわゆるミミズ腫れと言われるものでありまして、数時間たてば自然に消えていくものであります。言うまでもなく蕁麻疹もアレルギーの一つでありますが、後に傷を残さないので言わばアトピーの軽症型とも言えます。なぜ蕁麻疹が私のアトピーの治療中の最後に出やすくなるかと言いますと、アトピーは異物を出しやすい皮膚の直下でアレルギー反応を起こし、痒みを感じさせ引っ掻けばすぐに皮膚が破れて異物が体内から体外へ排泄されてしまうのでありますが、後に必ず傷跡が残ります。ところがアトピーをどんどん起こさせ続けていきますと、皮膚の直下のアレルギーに関わる免疫細胞や抗体が使い尽くされてしまいますと、だんだん皮膚の奥深く、しかも血管の周辺にしかこれらの免疫細胞や抗体が見られなくなります。このような皮膚の奥深くで異物を認識し、それを排除するために炎症を起こした後に見られるのが蕁麻疹なのであります。もちろんこの場合もIgE抗体はどんどん使われるにもかかわらず、皮膚の表面まで炎症が波及せずにただ血管の中から水性成分だけを大量に漏出させることができ、見かけはミミズ腫れとして観察されるのです。従って蕁麻疹はアトピーの不発型とも言えます。よく蕁麻疹は肝臓が悪いために起こるとか言われますが、100%アレルギー反応なのであります。時に蕁麻疹が全身に見られ、顔の形相が変わるほどミミズ腫れが見苦しいときに、患者はパニック状態になりよほど隠れた大病があるように考える人もいますが、こんな場合も数時間も経てば自然と跡形も無く元の状態に戻るものです。 蕁麻疹の場合も現代医療の治療はやはりアトピーの場合と同じくステロイドや抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤を用いますが、一時的に良くなっても再びリバウンドが出現し、再び苦しむのはアトピーと同じです。私が治してあげた蕁麻疹の例では10年も20年もこのような間違った治療を受けてきた人が何人もいました。元来蕁麻疹は生死に関わりが無いもので、放置すればいずれは消滅してしまうということを、医者は患者に伝えるべきです。また私のアトピーの治療中に頻繁に蕁麻疹が出だした時にはアトピーの治療も終盤に入ったことを物語るものであり、喜ぶべきものなのです。 ところで、アトピーでない人でも時に鯖のようなせびれの青い魚を食べた時に、蕁麻疹が出るときがあります。これはこのような青魚にヒスタミンに似た物質が含まれているからであります。ヒスタミンは血管を拡張させ、血管の中の水性成分を血管の外へ出させる力があるので、ミミズ腫れだけが見られることがありますが、この場合も放置しておけば数時間で蕁麻疹は消えてしまうので、何も心配することはありません。 ただ理論的には蕁麻疹が全身に生じて全身の血管が拡張してしまうと、いわゆるアナフィラキィショックが起こり血圧が急激に低下し、死ぬこともあると言われていますが、日常の生活で見られることは滅多にありません。私は全身に及ぶ蕁麻疹を何回か治療したことがありますが、このようなアナフィラキィショックを起こして血圧が測れない患者を診たことは一度もありません。もちろん病院などで特別な薬を注射で体内に投与した時にはしばしばアナフィラキィショックは経験するものでありますが、日常の普通の食べ物や飲み物を摂取するぐらいで全身の血管を拡張するほどの大量のアレルギー物質が侵入することは実際上あり得ることではないので、アナフィラキィショックは滅多に起こるものではありません。従って普通の生活の中で見られる蕁麻疹は生死に関わることはないと考えられます。
最後に二言。 ●痒い人は掻きたいだけ掻きなさい。人間の体は嘘をつきません。人間の体は掻かれることを今か今かと待ち望んでいるのです。神様は人間が掻くために痒みを感じさせているわけです。しかも掻くことによって皮膚を傷つけ早く異物を体外にだす手助けを求めているのです。早く掻くだけ掻いて最大限の楽しみを味わいながら異物を吐き出してください。掻いたからといって、だれに迷惑をかけるというのですか? ●あらゆるリバウンドも責任をもって乗り越えさせてあげます。最後までついてくれば必ず必ず必ずアトピ−を治してあげます。わからないことがあれば何でも聞いてください。いかなる質問にも責任をもって答えます。 最後の最後に一言。 ●どうしても言っておきたいのは、私が特別な名医であるからアトピーを治せるというのではありません。放置すれば自然治癒が原理的には可能であるからです。自然に逆らわなければ、必ず治る病気だからこそ、私が治せるのです。 追記) 私の長い漢方研究の成果によって生まれた博士論文のタイトルは"漢方動物生薬の牛黄・熊胆の慢性肝炎に対する基礎的・臨床的研究"であります。慢性肝炎や肝硬変に牛黄・熊胆が著効を示すことがお分かりになるでしょう。 |