「まぎれもなくリウマチです」 谷川 アツ子 55歳
平成13年8月末頃から右ひざの裏側が突っ張るような感じになり、日に日に痛みが強くなって来ました。半年前に左ひざの裏側が同じような状態になり、テーピング療法や、イトオテルミー療法などで治療を受け完治しましたので(今思えば本人のみがそのように思っていただけです。)今度も前回と同じ治療をすれば治ると軽い気持ちで通院しましたが、日が経つにつれ、今度は良くなるどころかひざ全体が硬直したようになり、正座はおろか、軽く曲げることさえ出来なくなってきました。布団に寝る時が大変でした。なにせ右足が曲げられないので、両手で体を支えて、左足を曲げ、お尻をおろし、そっと寝る。寝返りは絶対に無理。軽い肌布団があんなに重たく感じたことはありませんでした。朝は布団のそばに椅子を置き、椅子を支えに起き上がるような状態でした。整骨院での治療はこれ以上無理だと思い近くの整形外科に行き、事情を説明しましたが、ろくな検査もしないで、「あなたぐらいの年齢になると軟骨の変形があっても不思議はないよ」と言われ、レントゲンの結果が何の変形もないと分かるとひざに注射を1本、「これで楽になると思いますよ、また痛くなればいらっしゃい。」と、痛み止めの注射と飲み薬を渡されこれでおしまいでした。 母にリウマチかもしれないと言われ手足の関節が曲がってきて最後は寝たきりになる人が多いと聞き、医者は頼りにはならないし自分でどんな病気か調べるしかないと思い、痛い足を引きずって難波の一番大きな書店へ行き、リウマチに関する本を探しましたが、温泉療法、食事療法等ばかりでこれといった内容の本が見つかりませんでした。息子がいろいろなことをインターネットで検索しているのを思い出し、さっそく調べたところ、松本医院のホームページにリウマチがアトピーやアレルギー性鼻炎と同じアレルギーの仲間であることや、必ず完治するものであると気の遠くなるような長い文章で力強く書かれていました。患者さんの手記も想像を絶するものがあり、この病院で治療を受けるのにかなりの覚悟が必要だなあと思いました。が、この病院しかないと思いました。 9月25日、急な階段を1段1段痛い足を引きずりながら上り、やっと松本医院にたどり着きました。先生はと言えば白衣も着ない、聴診器も当てない喫茶店のマスターのようで、少し不安でした。握手をして「必ず治してあげる」と言われ自分がまぎれもなくリウマチであることを認識させられました。しかもそれが、2年前に15年来続いていた花粉症の治療中、鼻づまりのひどかった時に肩にした1本の注射が原因だったなんて大変ショックでした。 今思えば、息も出来ず夜も眠れなかった症状がピタッと治るんだもの、どれだけ副作用の強いものだったのか、推し量ることが出来ます。私の気持ちにお構いなしに早口で怒られているような説明は続きました。苦しい治療になるので家族の協力が必要なこと。鍼灸を併用すれば早く痛みがとれること、鍼は通院しなければ出来ないがお灸は自分で出来るから痛い所はどんどんするようにと言われ、隣の部屋で織田先生にごま塩をふったように痛い所一面にするんですよと言われましたが、小さな米粒大のお灸でもあんなに熱いのに思わずため息が出ました。でも、もう後戻りは出来ません。 仕事の方は2ヶ月の休暇をもらいました。あくる日煎じ薬用にアルミのやかんを一つ買い、一番煎じ、二番煎じ、三番煎じまで毎日1時間半かけ作りきっちりと飲むようにしました。風呂は給湯式の為、高温が出なく、これでは薬効が低いように思い、35cmもあるアルミの大鍋にさらして袋を作り15分〜20分沸騰するまで沸かし、浴槽に入れた後、もう1度二番煎じも沸かしふたをして1時間蒸らす、その後ぬるま湯でうめてやっと入浴、最初の頃は、痛い足を引きずりながら風呂場へ煎じ湯を運ぶ時、つまずいてひっくり返さない様にと緊張の連続でした。主人は前年にガンで急死し、大学生の二人の子供は親に負担をかけない様、夜遅くまでアルバイトで忙しく手伝ってもらえる状態ではありませんでした。 1週間後の血液検査の数値は正常値に近く「すぐに良くなるよ。走れるように治したる。」と握手され、少し気持ちが和らぎました。近所の鍼灸院で2日に1度の割合で鍼をしてもらい、言い訳ほどのお灸を始めました。2週間ほどで、激痛で夜も眠れないといった状態がなくなったのと、最初の数値が低かったので、自分の病気を甘く見ておりました。 10月、11月、と検査のたびに数値はどんどん下がっていくのに右ひざの痛みは一進一退で良くなりません。リバウンドでひどくなるようなこともありませんでした。顔見知りの患者さんが、3〜4ヶ月でアトピーやジンマシンが出て、痛みがうそのようになくなるよ、がんばってねと、足や手のアトピーを見せて励ましてくださったのに私にはそんな症状は一向に表れませんでした。12月の検査では、血沈、CRP、ZTT、は正常値で、「もうすぐ卒業ですね、手記を書いてくださいね。」と言われていましたが、それどころか右足をかばっていた左手(特に肩)少し前からだんだん痛くなり始め、手を上にあげたり、背中をかいたりする事が出来なくなってきていました。大いに反省です。先生にきれいに治そうと思うなと言われていたのに私はお灸が苦手で、あまりしていなかったのです。 1月に入り左右のひざ、左肩を(後ろが見えないので姿見の前で)3〜4時間かけ毎日お灸をしました。鍼は3日に1度に通いました。すこしづつですが痛みが和らいできました。「体は正直です」2月の終わり頃花粉症の症状が出始め、えり足の部分にも湿疹が出ました。この時の鼻づまりはひどかったです、鼻には万能薬の赤い薬を塗り、抑制剤を使わず漢方薬で乗り切りました。この頃より仕事場の和式のトイレに少しずつ深くしゃがめる様になりトイレを汚さなくなりました。皆さんも経験なさったと思いますが、和式のトイレで立ち上がるとき、壁を持ったり、パイプを握ったりで大変な思いをしました。3月になり花粉症のピークと共に血沈が少し上がりましたが、翌月には正常値に戻りました。この頃より1段づつしか上れなかった階段もさっさと上がれるようになりました。 3月12日、友人と病気になる以前から計画していましたオーストラリア5泊7日の旅です。持てるだけの漢方薬と痛くなった時の為にお灸を携え不安はありましたが出発です。半年前には考えも出来ないことでした。 5月に入りお風呂の湯船で正座が出来るようになりました。 鍼は10日に1度位行きます。お灸の方はやっておりませんが、左手も上がるようになり、うずくことはありません。仕事は婦人服の販売で6時間位立ちずめですが今では週に4日間出勤できるようになりました。 6月15日、時々右ひざに軽い痛みはありますが、日常生活に支障はありません。これからは、えり足に出来ているアトピーの治療の専念です。コレステロール値の高いのも同時に治療を受けています。 先生がいつも言われている様に、本当に病気を治すのは医者でもなく患者本人の治りたい気持ちなんです。それと人によって治るときの症状も随分と違うようです、ほんとにこれでいいのと何度も信じられないときがありましたが、リウマチには3種の神器(漢方薬、鍼、お灸)を使わないと治らないんやと初心に戻りあせらず頑張ってきました。先生、光の見えるところへ導いて下さってありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。 平成14年6月15日 |