Y.M 43歳
左のひざが痛み出したのは平成11年11月。仕事の関係で東京に転勤になり、一人で生活をし始めた頃でした。不慣れな一人住まいと店舗のオープンを2ヶ月後に控えての忙しい毎日を送っていました。軽い気持ちで医者に診てもらいましたが原因がわからないまま2ヶ月が過ぎていきました。そうこうしているうちに痛みが激しくなり数件の医者を回ることになりました。しかし、検査をしても何の反応もなく原因不明のまま処置できずに時が流れ、ある整形外科で検査したところ、変形性膝関節炎(普通の仕事をしている女性で40歳前後で変形性膝関節炎になることはめったにありません。何故かと言いますと変形性膝関節症による関節炎は老化によるものであるからです。)と診断され、週に2回程ひざに直接ヒアルロン酸を注射する治療を2ヶ月続けていましたが、治療をしても一向に回復するどころか、反対に患部に石が貼り付いたように重くなり体が動かなくなってしまいました。もう一人では日常生活すらできなくなり、仕事を断念し大阪の実家に帰ることになったのです。大阪国立病院を医者に紹介され、検査をしたところ結果は「慢性関節リウマチ」ということでした。私の父も祖母もリウマチ患者でした。
病院では、リウマチはまだ原因も治療方法も現代の医学では解明できていないので、完治する人は全体の10%しかいないと宣告され、治療の際の薬として、「ステロイド」と半年後に分かったことですが、「抗ガン剤」を服用していました。医者に言われるがままに服用していたにも関わらず病状は悪化するばかり。痛みの度合いに比例してステロイドのプレドニンの量は増える一方なのに効果が見られないため、プレドニンに代えてより強いステロイドであるリンデロンを服用するようになったのですが、結局症状は改善されず、反対に私の医者に対しての不信感がつのるばかりでした。このままでは廃人になってしまうのではないかという恐怖感でいっぱいになっていました。そんな時インターネットで松本医院を知り、藁をもすがる思いで初診を受けました。ステロイドをやめる・・・リバウンドの恐怖・・・想像でしかなかったが、私は松本先生を信じ全てを任せる決意をしました。(通常はステロイドを徐々に減らしていくのがリバウンドを最小限に抑えることになる)松本先生に説明を受けて、私なりに出した結論はステロイドを一気にやめること・・・。(私はこんな説明をしたことは全くありません。ステロイドホルモンを徐々に減らさなければならない理由は、長期にステロイドを服用していると副腎皮質が抑制され仕事をしなくなっており、急にステロイドを止めるとショックで死ぬことがあるからです。従って副腎皮質の働きを徐々に回復させる為に内服しているステロイドを副腎機能の検査結果を見ながら減らしていかなければならないのです。絶対に合成副腎皮質ステロイドホルモンであるプレドニンやリンデロンを一気に止めることはしてはいけないことなのです。どんな医者もステロイドを内服させる時にはこの注意を患者さんにすることが義務なのです。)
平成12年11月発病してちょうど1年がたったころ、私はステロイドをやめました。その日から、私の闘病生活は始まったのです。想像以上にリバウンドは激しく、苦痛に満ちたものでした。寝たきりの状態で一人では起き上がることもできず、体の痛みに加え原因不明の後頭部の頭痛(松本先生によるとリンデロンの副作用と思われる)と高熱があり(リウマチの痛みに一番良く効く合成副腎皮質ステロイドホルモンはプレドニンであることが分かっているので、めったにリンデロンを使うことはないのです。たまたまこの患者さんの場合は実験的にリンデロンを使われたので止める時にこのような頭痛と高熱が出たのではないかと考えたのです。それと私はこの患者さんに徐々にリンデロンを止めるように指示し、毎日電話連絡をしていたのですが、勝手に一気に止めてしまったのです。この為に生じた離脱症状であるかもしれません。如何なる状況でもステロイドを急に止めては絶対に危険です。)、夜も痛みで眠れず大袈裟かもしれませんが、死ぬほど辛い時期が3ヶ月続きました。(何も大袈裟ではありません。実際ステロイドは麻薬といっても過言ではありません。ステロイドはリウマチの痛みを劇的に減らすという快楽の代わりに、離脱する時に麻薬と同じ様に極度に苦しい禁断症状が出るのです。つまりステロイドという薬は、使うことで得た快楽は止めることで得る苦しみによって相殺されるのみならず、リウマチそのものは知らず知らずのうちに徐々に悪化していく上にステロイド自身の持つ副作用という新たなる病気が加わり、さらにリウマチそのものは絶対に治ることはないわけですから、ステロイドを使う論理的な根拠がないことがお分かりでしょう。ただステロイドを使うことが許されるのはステロイドを使わなければすぐに命がなくなると分かっている場合だけだと考えます。例えば喘息発作で息が出来なくなった時にはステロイドだけしか救う手立てはないのですから、絶対に使うべきです。)両膝は水がたまり、野球ボールがくっついているかのように腫れ上がっていました。右腕は血の気がなく自分の力では動かすことが全くできない状態でした。通院することが不可能な為、松本先生には電話で痛みの対処方法や励ましをいただき心強く感じました。朝昼夜時間を問わず痛みのある箇所に灸を、毎日針灸の先生に往診にきてもらう日々を送り、必ず良くなることを信じて、松本先生の励ましと家族と針灸の先生のお陰で変形することもなく、今は痛みもとれて日常生活に支障もなく生活しています。今になって後悔するとすれば、ステロイドを服用したことです。最初から松本先生に出会っていればもっと早期に完治することができたと思います。松本先生には感謝の気持ちでいっぱいです。(その通りです。麻薬であるステロイドさえ使わなければリウマチの治療は実に簡単なものです。しかし最近ステロイドに負けない非常に強力な免疫抑制力を持った抗リウマチ薬や抗炎症剤がどんどん開発され、ステロイドの代わりに内服してくる患者さんが多くなりました。ところがこのような薬も止める時にステロイドと同じ様な激越な禁断症状が出ることが分かってきました。患者さんはこれらの良く効く薬はステロイドではないので安心して服用してくるのですが、実はこれらの薬も本質的にはステロイドと同じように免疫や炎症を抑制する作用があるからこそ使われるのです。従って止める時に反動現象が出るのは当然なのです。
これらの薬を使ってはいけないもっともっと大事な理由は別にあります。すでに述べているようにリウマチの治療中に、まず自然にIgG抗体からIgE抗体に抗体のクラススイッチが起こりその結果アトピーになり、最後に自然後天的免疫寛容が起こり、リウマチもアトピーも治ります。ところが、免疫を抑制してしまうとこれらの二つの働きも抑制され続けるので、結局は根本治療がそれだけ難しくなるからです。(遅かれ早かれ免疫抑制剤の働きも時間と共に解除されてしまいますが。)この事実を知っているのは世界で私一人だけなのです。いずれにしろ、あらゆる種類の抗リウマチ薬や抗炎症剤を使用しない限りはアトピーと同じくリウマチの治療というのは極めて楽なことです。)