「リウマチ手記」 山本 貴義 30歳
私が指先の異変に気付いたのは、約1年前でした。朝起きると両指がこわばって痛むのです。(リウマチの初期症状として一番よくみられるのはこの朝の起床時の両手のこわばりです。指を伸ばしたりしているうちに自然とこわばりはなくなりますが、そのうちに指の関節が痛くて伸ばす事が出来なくなってきます。)すぐにリウマチではないかと直感しました。以前から、だるい微熱が続くなど、身体の不調を感じており、何かの病気にかかっているのではないかと思っていたからです。(リウマチは痛みとしては関節に現れるので関節だけの病気と思われがちですが、実は全身の病気なのです。というのは、関節に溜まりやすい異物を排除しようとする免疫反応の結果表れる炎症反応が、痛みとして感じられるのですが、この免疫反応は関節内だけで起こっているのではないのです。一つには体の結合組織のどこでも起こっているのみならず、さらに免疫反応を起こした後は様々なメッセージを体中に放出し、戦いの印として微熱を生じさせ、倦怠感なども感じさせるのです。) でも、もしかしたらたまたま痛んだだけかもしれないと思い、2日ほど様子をみたのですが、痛みは治まりません。やはり自分はリウマチにかかっているようです。そして、リウマチは現代医学では原因不明、根本的な治療法もないことも知っていました。(いわゆる自己免疫疾患や膠原病と言われる病気は、体外から侵入してきた異物が人体の構成物質である蛋白質と結び付いてアレルゲンとなり、それを排除しようとして生じる病気なのです。とりわけ結合組織と言われる組織の蛋白は色々な物と結び付きやすく、新たなるアレルゲンを作りやすいために自己免疫疾患を結合組織病とか膠原病とも言われるのです。ちなみに膠原の「膠」は「にかわ」という意味であり、「原」は「元」という意味であり、膠原病とは「にかわの元になるところの病気」という意味です。「膠」は物と物とを接着したり結合させるのに用いられるものです。)だから、普通の病院に行っても無駄だと思いました。私は愕然としましたが、治らないからといってああそうですか、という訳にはいきません。何らかの治療はしたい。何か方法があるはず。そんな時ふと松本医院のことを思い出しました。数年前に風邪を引いた時に、何度か松本医院のお世話になったことがあり、そこで漢方煎じ薬を処方されたことを思い出したのです。(風邪を治すのも漢方の得意とするところです。現代医療の風邪治療も、アトピーの治療と同じことなのです。というのは、風邪の原因はウイルスであり、現代医療にはウイルスを殺す薬はないので、現代医療の風邪薬はただ見かけの症状を除去する対症療法に過ぎないのです。炎症を止め、熱を下げ、おまけに不必要な抗アレルギー剤を投与するだけで逆にウイルスとの戦いをしにくくさせているだけなのです。結局は患者さん自身の免疫で最後はウイルスをやっつけざるを得ないのです。一方、漢方は免疫を上昇させ、直接的にウイルスをやっつける貪食細胞の働きを活発にし、出来る限り第一線でウイルスを除去することが可能なのです。)「現代医学がダメなら、東洋医学がある。」以前から東洋医学に興味があったので、東洋医学による治療を受けることには何の違和感もありません。私はすぐに松本医院のお世話になることにしました。 このように私は、松本先生がリウマチ治療の名人であることを全く知らずに、(何も私は自分のことをリウマチ治療の名人だと言いふらしたことはありません。医者は病気を治して報酬を貰っているのです。他の医者が治せない病気を治したからといって何も自慢することではないのです。逆に治せない医者が本来の責任を果たしていないだけなのです。自分が治せない病気は始めから治せないと言うべきです。治す自信のない病気の治療には手を出すべきではないのです。今現在、社会の全ての分野において構造改革が叫ばれていますが、医療も手をつけていくらではなくて、治していくらの世界にすべきです。)ただ漢方治療をしているという記憶だけで訪れました。今思えば、何と幸運な選択だったでしょう。松本先生は「超スーパー初期のリウマチです。でも僕が生きている限り絶対治してあげる」と言い、握手をして下さいました。私は普通の医者からは感じ取れない何かを、松本先生から感じ取りました。この先生なら治してくれる、そう思いました。(私は生業のために嘘をついたことがないので、私の言葉の中に他の人の言葉はない真実をこのように感じ取る人がいます。) その後しばらく漢方薬による治療をしました。残念ながら漢方薬を飲んですぐ治る、という訳にはいきませんでした。いくら治ると言われても、もしかしたらリウマチが進行するのではないか、という恐怖が時々襲ってきました。恐怖が痛みを増幅させていたのかもしれません。検査の値も、少し悪くなっていたようです。(漢方薬は全て免疫を上昇させるので、漢方を服用すれば多少とも見かけの症状が悪くなることは当然のことなのです。リウマチの場合も免疫を出来るだけアップして、戦いを続けさせ痛みの症状を悪くさせますが、この痛みを出来る限り楽にさせ、最後に異物を排除出来ないことをサプレッサー(抑制)T細胞が判断し、この戦いの抑制のメッセージを出し、最後に自然後天的免疫寛容を起こさせるのが目的なのです。)その後、鍼灸による治療も開始しました。すると、通院して数ヶ月ぐらいから、痛みが徐々に治まってきました。そうするとリウマチへの恐怖も薄れていきました。その後も漢方薬と、自宅での灸治療を続けました。(お灸は何時でもどこでも誰でもができる簡便な民間療法であり、血流を圧倒的に改善し痛みを減らし、かつ局所免疫を上昇させるのでリウマチの優れた民間療法のひとつであります。さらに灸の後の炎症創からアトピーがでやすくなりリウマチがアトピーに変換されるきっかけとなり、優れた根本治療法の手助けとなるのです。古代中国の先人の知恵に乾杯です。漢方煎剤も中国人の作り出した素晴らしい治療法であることは言うまでもないことでありますが、中国人の偉大さにただただ感服するのみです。)時々痛むものの、痛む回数や時間が短くなっていきました。だんだん治っていく、という実感が湧いてきました。 そして通院を始めて約1年、お世話になった松本医院を巣立つ日が来ようとしています。松本先生、その他スタッフの皆様、大変お世話になりました。感謝の念で一杯です。 「リウマチは治る」この事実を証明する人間がまた一人、ここに誕生しました。 2001年4月18日
RAPA・ZTT・CRP定量の値は正常値をとっていたので掲載していません。 |