「歩くことの難しさ」 吉永 宣子 60歳

 私は59歳の主婦です。33歳の時に甲状腺腫瘍の為に手術をしました。それから26年間、ホルモンを補う為の薬チラージンを1.5錠、毎朝飲んでいます。生活は皆と変わりなく過ごしていました。(甲状腺腫瘍の患者さんにはリウマチがしばしば見られます。これは甲状腺腫瘍もアレルギーと関わりがあることを示唆するものです。)

 ところが平成8年、約4年前頃から足の裏が痛く徐々に足に鎖をつけたように重く、立ったり座ったりすると、膝や足の裏が痛くなってきたので、たぶん「孫をだっこして階段を昇り降りしたからかな?」と思っていました。それで近所の整形外科に受診しました。先生は、血液検査ではまだリウマチとは決められません、(リウマチの確定診断は実を言えば極めて難しいものです。いろいろ診断基準が作られていますが、とりわけ初期のリウマチにあてはまる診断基準は何もないと言っても過言ではありません。元来、慢性関節リウマチという病気は慢性疾患であり、徐々に進行していくものです。ほとんどの場合間違ってリウマチ以外の病気と診断されたり、あるいは診断名不明のままで痛み止めを出されることが多いのです。本当の初期のリウマチの血液検査ではリウマチ抗体を含むRAHAやRF因子やRA検査やγグロブリンやZTTが正常であるのみならず、炎症所見であるCRPや血沈も全て正常であることがあります。)と言われ、底の柔らかいスニーカーの靴を履きなさいと言って、電気治療と湿布薬をくれました。

 そのうち、朝起きて手を握ると少しむくんだような感じがしました。内科の先生は、朝に手がむくむのはリウマチの初期だと言われました。朝起きる時も這うようにして、柱をつたって立ちました。日が経つにつれ、親指と人差し指の根本の関節が赤く腫れ、特に右指がひどく、日常生活を送るのが苦痛でした。手をかばうと、肘・肩・首筋まで凝ってきました。心の中ではどうしよう、リウマチになったら不治の病。痛くなる。動けなくなる。

骨が曲がってしまう。家族に迷惑をかけるのでは………。(このような不安を感じる必要がないことを世界の人に知らせるために、このような手記を書いてもらっているのです。リウマチは必ず治る病気なのです。私から言わせると医者にかかったことがないリウマチは「膝の風邪、あるいは関節の風邪」の程度の病気に過ぎないのです。ただし条件があります。私の治療を受ける前にステロイドを始めとする抗リウマチ剤を用いない限り、という条件です。抗リウマチ剤とはステロイド剤のリンデロン・プレドニンであり、それ以外のシオゾール・リドーラ・メタルカプターゼ・リマチル・アザルフィジンEN・カルフェニール・オークル・モーバー・ブレディニン・メトトレキセート等です。これらの抗リウマチ剤を使ってきた人は、その程度に応じて必ず激しい離脱症状、つまりリバウンド(反跳症状)が出ます。この処理が大変になるのです。とりわけステロイドの注射や内服剤を長期に大量に使ってきた人のリバウンドは恐ろしいものです。知っておいてもらいたいのは同じ量でもリンデロンはプレドニンの5倍以上の強さがあることです。リウマチを100%治すことが出来る私に言わせると、これらの薬は誰の為に作られているのかいつも疑問に思います。)

色々思うと不安で落ち込んで、涙が出てきました。またリウマチ科のある整形外科で受診しました。足首に電気を当てお湯に手をつけて、飲み薬フルカム(抗炎症剤の痛み止めです。)と胃薬をもらっていました。そして私の足に合わせて、靴やスリッパを使って頂きました。半年くらい通院しましたが、リウマチは、まあ灰色ですと言われました。それから接骨院で電気治療とマッサージをして、薬は飲んでませんでしたが、少し足が軽くなり、歩きやすくなりました。

 その頃、息子が通勤途中に皮膚科が目にとまり、アレルギーが出ていたので、一般の皮膚科と思い入っていったそうです。運が良かったとしか言いようがありません。神様が私達に巡り合わせて下さったのが漢方薬治療の松本医院だったのです。何も漢方だけをやっている訳ではありません。しかし治療方法としては西洋医学よりも東洋医学の方がはるかに優れているので漢方煎剤や鍼灸を使うことが多いので、このように感じておられるのでしょう。現代医学は検査医学においては東洋医学よりも断然優れていますが、治療の点では劣っており、東洋医学よりも勝るのは抗生物質、降圧剤、ホルモン補充療法、潰瘍の四つの分野だけです。もちろん外科は西洋医学の独壇場です。)

 息子もあの痒さから逃れ解放され、京都の娘もお世話になり、私も娘に薦められて、平成12年3月に診察して頂き、すぐ鍼灸をしていただきました。(家族の方々のアトピーを全て治してあげたので、リウマチも治すことが出来ると信じて来られたのです。)医院に入ると漢方薬の匂いで心身安らぐ思いがしました。松本先生は「お灸は自分でしなさいよ。必ず治してあげるから。」と握手をして下さいました。先生は一生懸命になってくれている。それで私は半分以上治ったような気がしました。4月末朝起きて手を握ると、いつものむくみがなくなっていました。鍼灸士の織田先生もいつも気持ち良く接して下さり、体が軽くなって気分良く帰れます。最近は体にも関節にも力が入り、指先もしっかり物をつかめるようになりました。でも、まだ血液の数値が標準になっていないので、これからも治療に専念したいと思います。

 これまで元気になれちゃのも松本先生をはじめ、織田先生、看護婦さん、医院の皆様のお陰だと感謝の気持ちでいっぱいです。

 これからも、家族共々、よろしくおねがいします。

平成13年6月13日