そもそも気管支喘息とは何なのでしょう?言うまでも無く大気に運ばれた天然の、あるいは人工の大量の化学物質が気管支に侵入したときに咳で排除しようとし、さらに気管支粘膜を収縮させて大気汚染物質を入れまいとして症状が出現するのが気管支喘息であります。しかしながら異物を体外へ排除しようとする他のアレルギー疾患と比較して異なる点が2つあります。まず第一に気管支喘息は重篤度においては比較しようが無いくらいに重い病気といえます。毎年日本では7000人の喘息患者が亡くなっています。私のアトピーの治療においては、いかに激しいステロイド離脱症状があっても適切な治療をすれば絶対に死ぬことは無いのですが、喘息の場合は異物を入れまいとする場所が気管支という空気の通り道であり、気管支の収縮が3分以上も続くと死に至るからであります。他のアレルギーの戦いの場所は皮膚や鼻の粘膜や目の結膜であり、いかなる状況になろうとも生命には全く関わりが無いからであります。第二に、気管支の収縮は90%以上はアレルギーが関与しているのでありますが、残りの10%は自律神経によるものです。しかし基本的には異物を気管支から入れないために気管支が収縮して生じるアレルギーに、自律神経のアンバランスによる副交感神経の興奮によってもたらされる気管支の収縮が副次的に重なることが問題になります。(実際、喘息の発作は交感神経が身体を支配して、気管支が拡張している活動の時間、つまり、労働したり緊張したり興奮したりしている時間内に起こるのではなくて、副交感神経が支配して気管支が収縮しはじめる休息の時間、つまり仕事の後や休息中や睡眠中に起こることがほとんどであります。)アレルギーが一切無ければ自律神経のアンバランスだけでは重篤な気管支喘息は起こり得ないのであります。従っていずれにしろアレルギーの中で最初に治すべきものは気管支喘息であります。気管支喘息が起こる気管支粘膜の広さはせいぜい数十平方センチメートルであり、アトピーが出現する3平方メートルの皮膚の広さに比べて数千分の一でありますから、アレルギーは元来皮膚に起こりやすいものなのです。これらの二つのアレルギーを持っている人の治療は極めて楽であります。というのは、一度IgE抗体を皮膚に使わせてしまうとそこで炎症が起こり、アトピーの症状がひどければひどいほど体内のアレルギーの炎症細胞やIgE抗体が皮膚に集中して使われてしまうので、気管支粘膜で使われる余地がますます少なくなり、それと共に気管支喘息の症状も減っていくからであります。
何故気管支喘息は完治するのでしょうか?アレルギー性気管支喘息の患者は気管支の粘膜に侵入してくる汚染物質をわざわざ咳き込んだり、気管支を狭くして体内に入れまいとして体外へその異物を排除しようとします。異物である敵は無限に空気から入ってくる化学物質であり、それを排除する武器は有限であるIgE抗体であります。排除しても無限に繰り返し入ってくる化学物質を永遠に排除することは不可能であり、有限は無限に絶対に勝つことはできないからです。いかなる戦いも永遠に続くわけではなく、勝つか負けるかで決着がつきます。環境を排除する戦いは、初めから人間の負けであることは分かりきったことです。負けて環境にひれ伏して共存させてもらうことしか人間の生きる道はないのです。ただ戦いの際に見られる気管支の症状を免疫を抑制せずに楽にするだけが一番重要であり、最後は気管支の粘膜中で起こっている異物を排除する気管支喘息の戦いは当然に人体の敗北に至ります。つまり体の中でIgE 抗体がいずれ作られなくなってしまい、空気汚染環境との戦いに負けて環境と共存せざるを得なくなり、最後には症状は自然と消滅してしまうわけです。この原理を発見したのは世界で私が最初であり、これを自然後天的免疫寛容と名付けています。
ところでアレルギー性気管支喘息をアトピーやアレルギー性鼻炎・結膜炎とは全く別の疾患だと考えている医者や患者さんが沢山います。しかしすでに述べたように本質は同じであり、ただ単に異物を吐き出す場所が違うだけです。従って2年前に厚生省はこの事実をはっきりと認めアレルギー科の標榜を許したのであります。アレルギーの根本治療は自然後天的免疫寛容を起こすことしかなく、アレルギー性気管支喘息とアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎・結膜炎の治療というのは根本的には全く同じなのであります。ただ排除する場所が違えば症状が異なりますから、免疫を抑えずにそれぞれの症状を楽にする漢方煎剤の処方はその症状に応じて異なってくるだけです。ところが現代のアレルギーの治療は全て免疫を抑制するだけの対症療法ですから、結局は毎回毎回リバウンドを繰り返しながらIgE抗体がいつまでも作り続けられアレルギーそのものは深刻になり、いつまでも薬を止めることができなくなり、最悪の場合は、毎年アメリカではリバウンドを起こして6000人、日本では7000人の喘息患者が無念にも亡くなっています。そして現代医学のお偉方は無責任にもアレルギーは治らない、治らないと言い続けています。しかし私は全てのアレルギーを漢方煎剤を使って自然後天的免疫寛容によって完治させています。
ただ気管支喘息だけで長期に治療してこられた患者の治療はアトピーを合併した喘息患者ほど簡単ではありません。アトピーを合併している喘息患者は、現代の免疫抑制療法を止めるとアレルギーが一番出易い広い皮膚に炎症が起こり、アトピーがひどくなり、そこへ全てのアレルギーの免疫細胞やIgE抗体が集まり、皮膚で使われやすくなり、気管支にあった炎症細胞までもが皮膚へ皮膚へと移動して行き、ますます気管支で使われる免疫細胞やIgE抗体が少なくなって喘息の症状が出なくなってしまいます。一方、喘息だけの人は長期に渡って気管支に集合した免疫細胞の働きを抑制し続けてきたうえに、他の場所のアレルギーの炎症の抑制は起こらなかったので他の場所でリバウンドを起こしようがなく、炎症がいつまでも気管支の粘膜に限局されるので、IgE抗体は気管支でのみ使われる傾向があるからです。(このような喘息だけの患者も、遅かれ早かれアトピーも出現してしまうと喘息の症状が一挙に良くなることがあります。)とりわけステロイドの内服剤であるプレドニンを一度現代医学の喘息の治療で用いますと、なかなかプレドニンを中止することが難しいのであります。それはプレドニンを止めると必ずリバウンド現象が出現し、喘息の症状が悪くなり、再びプレドニンを用いざるを得なくなるからです。つまり一時的にアレルギーの炎症を抑える薬の中でステロイドのプレドニンほど良く効く薬はないからです。ところが漢方煎剤はプレドニンに負けないほど気管支を拡張することができるうえに、免疫を抑制する作用は全く無いものですから、最後は自然後天的免疫寛容をもたらすことができるのです。(漢方煎剤が免疫を抑制しない理由を述べます。ステロイドを止めて漢方煎剤だけを用いると、初めは抑制されていたIgE抗体は必ず上昇して行きますが、最後に自然後天的免疫寛容を起こすと必ずIgE抗体が下がってくるからです。詳しいことは理論を読んで下さい。)いずれにしろ漢方煎剤を飲み続けると現代のあらゆる気管支喘息治療剤を止めることができ、さらに症状も楽になり、最後は喘息も完治してしまうのであります。
ところで純粋に気管支喘息だけの患者さんは極めて少ないものです。ある意味では皆無と言っても良いくらいです。何故ならば気管支喘息の治療を子供のときにされると100%と言っても良いくらいにアレルギー症状はアトピーに変わってしまうからです。つまり気管支で炎症を起こさないような治療を続けると、気管支でIgE抗体が使われなくなり、もっと異物を排除しやすい皮膚のほうで使われアトピー性皮膚炎となるからです。(これを偉い学者はアレルギーマーチと呼んでいますが、これも医者が作った現象であり、気管支喘息で使えなかったIgE抗体は結局は皮膚で使わざるを得なくなりアトピーとなってしまうのです。)一度アトピーが起こると、狭い気管支でIgE抗体を使うよりも遥かに広い皮膚でIgE抗体を使うアトピーがアレルギーの主な症状となってしまうのです。従って喘息の手記は必然的にアトピーの手記と重なってきます。しかもアトピーの症状の方が見かけは重篤になるので喘息の部分の話はどうしてもアトピーの影に隠れてしまいます。さらに、漢方治療は喘息のほうがアトピーよりも遥かに楽であり、すぐに喘息の症状が消えてしまい、患者はアトピーだけの治療に専念している気になってしまい、すっかり気管支喘息が治ったことを忘れてしまうのです。そこで、そのような手記を数編載せておきます。(アレルギー性気管支喘息だけの患者さんも数多く治してあげたのですがなかなか手記を書いてもらえません。その内になんとか書いてもらって発表する予定です。
最後に一言。気管支喘息の患者さんは、常に風邪を引かないように気を付けるべきです。風邪を引けば必ず気管支喘息が誘発されます。それはウィルスによって引き起こされた気管支炎が一度起こるとその病巣へウィルスをやっつける免疫細胞以外に必ず同時にアレルギーを起こす炎症細胞も集合するからです。その結果、風邪のウィルスが排除され、風邪が治ってもそこに集まってきたアレルギーの細胞が毎日気管支に侵入してくる大気汚染物質を排除する為に、すぐに戦いを始められる準備状態が作り上げられるからです。
最後の最後に一言。私はあらゆるアレルギーを自然後天的免疫寛容の理論で完治させています。アレルギー性蕁麻疹やアレルギー性消化管下痢症も簡単に治すことができます。